半導体大競争に新たな国・インドが

人口が世界一になったと見られるインドでは今、国を挙げて半導体産業の育成に力を入れています。インドで初となる半導体生産を目指し、大規模な計画が動き始めました。

東京ドーム約2万個分の生産拠点計画

インド西部・グジャラート州のドレラにある工業団地。今は更地になっている、東京ドーム約2万個分という広大な用地に、半導体の生産拠点をつくる計画が進められています。

ここには半導体の製造に欠かせない水や電力などのインフラが整備されるほか、製品を国内外に運ぶための空港や高速道路も建設する計画です。

半導体の巨大な生産拠点の模型

グジャラート州政府幹部 ハリート・シュクラさん
「半導体は多くの産業と連結性がある。ここがインドや世界で最も重要な半導体製造地の一つになると、間違いなく言える」

インド政府 1兆円超の予算で国産化を後押し

インド政府も1兆円を超える予算で半導体の製造を後押ししています。

インドでは、スマホなどに使われる半導体は海外メーカーからの輸入に頼っています。今後、人口増加と経済成長に伴ってますます半導体の需要が見込まれる中、国産化を進めたいと考えています。

現在は海外メーカーからの輸入に頼っている

率いるのはアメリカ人CEO

半導体の製造に乗り出すのは、インドの大手資源会社です。まずは需要の大きい家電や自動車などに使われる半導体の製造を目指すとしています。

半導体事業のかじ取り役としてヘッドハンティングされたのが、アメリカ人のデビッド・リードCEOです。韓国や台湾など世界の半導体企業を渡り歩き、インドでの半導体ビジネスの成功に自信を持っています。

デビッド・リードCEO

半導体製造会社 デビッド・リードCEO
「1990年代に私は日本にいた。日本が半導体の王者だったからだ。そして今はインドの時代だ。ことし11月から工場の建設を開始し、4年後には最初の収益を得られるだろう」

今後は、海外の半導体企業との技術提携を目指すとしています。

技術者の確保が課題

半導体産業に詳しい専門家は、技術者の確保が課題だと指摘します。

イギリス調査会社「オムディア」 シニアコンサルティングディレクター 南川明さん
「人材はすぐに育てることは難しい。インドの人をアメリカや日本に送り込んで1年間とかトレーニングをして戻して、これを何回かやらないといけないと思う。1つの工場をちゃんと立ち上げていくことがまずは必要になってくると思う」

日本からも熱視線

半導体は経済活動を維持するために欠かせない物資として、経済安全保障上の重要性も増していますインドには西村経済産業大臣が訪れ、半導体のサプライチェーンの強じん化などを柱とする協力で20日に合意するなど、世界から熱い視線が注がれています。
(ニューデリー支局 山本健人)
【2023年7月27日放送】
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