今治タオルも靴下も “捨てさせない”取り組み

タオルや靴下は買い換えるサイクルが比較的早いイメージがありますが、それらを捨てさせない工夫をして環境への負荷を抑えようと、企業の取り組みが始まっています。

使用済みタオルを再びタオルに

全国有数のタオルの産地、愛媛県今治市で、地元の「今治タオル工業組合」が4月から、使用済みの今治タオルの回収を始めました。

回収されたタオルは、繊維のリサイクル技術を持つ大阪のメーカー「クラボウ」へ送られ、機械で糸の状態に戻されます

またタオルを織る工程で大量に発生する「はぎれ」も糸になります。この糸で再びタオルを作ります。

タオルはまだ試作品の段階ですが、複数の色のはぎれを使っているため、淡い色合いになるのが特徴です。

地元のタオル工業組合 村上政嘉 副理事長
「安心安全な今治タオルとして、環境に配慮した中でものづくりが行われているということを、積極的にこれからもアピールしていきたい」

“長持ち靴下”で捨てる量を削減

東京都内の靴下メーカー「グレン・クライド」は、商品を長く使ってもらい、捨てる量を減らそうと考えています。その1つ、テントなどに使われる丈夫な糸を使った靴下は、一般的なナイロンに比べて6~10倍の強度を持つといいます。

この靴下は1足2640円しますが、すでに9万足売れているといいます。

靴下メーカー 橋本満 社長
「丈夫であるがゆえに、廃棄するまでのサイクルが長くなっていく。それを繰り返すことで、結果、ソックスを捨てる量が減ってくるのではないか」

また、発想の転換で“捨てられにくい靴下”も開発しました。かかとを無くした手袋のような形の5本指ソックスは、両面履くことができます

かかとを無くすことで…
両面履くことができる

例えば、左足で履いた時にかかとだった部分は、ひっくり返して右足に履くと、足首の前の部分になります。交互に履くことで、すり切れやすいかかとの負担を減らすデザインになっています。

この靴下は、肌が触れる裏地に高級シルクの糸を使い、長く愛用してもらうための工夫もしています。

この靴下メーカーは2023年秋から、環境意識の高い欧米にも進出する予定です。

靴下メーカー 橋本社長
「こういう丈夫なソックスを履くと、結果、最後はごみを減らすことができる。グローバルに伝えていくことを考えていけば、こういうビジネスモデルも長く継続して成立していくんじゃないか」

両面履ける靴下は4000円近くするそうですが、長く使えるなら買い求めたいという消費者もいるかもしれません。品質や便利さを保ちながら環境への配慮を訴える取り組みが、消費者にどう届くでしょうか。
(松山局 木村京)
【2023年6月5日放送】

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