地域のつながり作ろう “貸し借り”“お出かけ”促す新サービス

マスク着用が個人の判断になるなど、新型コロナを取り巻く状況が変わりつつある中、コロナ禍でこれまで難しくなりがちだった対面での交流を推進して、地域活性化につなげていこうというサービスが注目されています。

「手渡しで」貸し借りするアプリ

鈴木さんと子どもたちがアプリで借りようとしているのは…
「フレスコボール」の道具

神奈川県逗子市で暮らす鈴木裕子さんは、小学生の子どもたちが「フレスコボール」というスポーツをしてみたいと言うので、道具を借りることにしました。

鈴木さんは、必要なものを「手渡し」で貸し借りできるアプリを使いました。「まだ(道具を)買うまでの勇気もなくて、借りられたらいちばんいいなと思ってた」と話します。

「手渡し」で貸し借りする場合は、安全対策が大事です。このアプリで扱えるのは、ふだんの生活で使う物だけ。生き物や食品、薬のほか、貴金属や美術品など高価なものの貸し借りは禁止です。登録には、顔写真付きの身分証明書と一緒に撮影した写真の提出が必要です。

料金は貸し手が自由に決めることができて、そのうち20%が手数料になります。

取材した日、フレスコボールの道具を貸してくれる藤原皓平さんが、待ち合わせ場所にやってきました。藤原さんは鈴木さん家族と以前から顔見知りでしたが、あいさつを交わす程度で、こうしたやり取りは初めてだといいます。

道具を貸す藤原さん

子どもたちに使い方を教えながら一緒に遊んだ藤原さん。「フレスコボールを貸したことをきっかけにして一緒に遊んだり、よい関係になったかな」と話します。

アプリ運営会社「アズママ」 榊原慎也さん
「ただ物をもらうのでなくて使い方を教えてもらったり、新しい体験を生めるサービスだと思う」

ポイントで外出促進 電子タグ使った新サービス

コロナ禍で減ってしまった高齢者の外出を促そうという実証実験も進められています。東京都内のIT企業や鉄道会社、自治体が共同で、電子タグを使った新サービスの実用化を目指して実施しました。

かばんに電子タグをつけて外出

参加者はこの電子タグを持って外出し、サービスに参加している店や施設に立ち寄ります。すると、店や施設に設置されたタブレットが電子タグの信号を読み取り、ポイントが付与されます。

ある花屋に入っていくと…
設置されたタブレットが電子タグの信号を読み取り、ポイントがたまる

ポイントがたまると、店の商品や景品と交換することができます。

実証実験に参加した女性2人は「ポイントは楽しみで、歩く励みにもなる」「出かけてみようかなという気持ちになる」と話しました。

サービス運営会社「ジョージ・アンド・ショーン」 井上憲 代表
「新しいモチベーションで、今まで外に出なかった人が出てくださるきっかけになれば」

実証実験を行った 多摩市高齢支援課 曽山のぞみ 係長
「高齢者の外出が促進されることで、街の活性化にもつながると思う」

このサービスはまだ一部の地域での実証実験の段階ですが、その結果を受け、2023年度にエリアを広げて取り組みをさらに広げていくか、検討しています。

コロナ禍で人と人が接触しなくてもすむサービスがたくさん生まれましたが、再び対面でのつながりをつくろうとする動きが出てきているようです。
【2023年3月27日放送】
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