フードロス削減を楽しく!シールやアプリで取り組みを加速

廃棄される食品は、最新の推計でも年間522万トン(2020年、農林水産省)に上っています。そこで「フードロス」を解決しようと、消費者がメリットを感じられる新しいアイデアで、売れ残りそうな商品を積極的に買ってもらおうという取り組みが広がっています。

シール集めてお菓子と交換 途上国支援の寄付にもつなげる

東京・練馬区の大手スーパー「サミットストア大泉学園店」では、消費期限が迫り値引きされた商品に「もぐもぐチャレンジ」というシールが貼られています。

このシールを10枚集めると、お菓子と交換することができます。また途上国の学校給食を支援する国連機関への寄付にも使えます。シールは現在、全国13の企業の300店舗以上で導入されています。

買い物客に感想を聞いてみると、「シールを集めるのが楽しい」という人も。別の買い物客は「どうせ使うなら早く使えば同じことなので(シールがついた商品を)買っている」と話しました。

スーパー 牧 豊 副店長
「去年の6月から導入して以降、生鮮食品、総菜、ベーカリーを中心に値下げ廃棄ロスは下がる傾向にある」

このサービスを提供するマーケティング会社「アッシェ」は、フードロス削減とスーパーの集客を両立させる仕掛けとしてシールを発案しました。

マーケティング会社 マーケティング&カスタマーサクセス本部 穐津健太本部長
「お客様の購買や来店、リピートを促進する、そういったところにも寄与するプログラムだと考えている」

アプリがレシピ提案 料理を作るとポイントに

青森県弘前市のスーパー「ユニバース堅田店」では国の委託事業として、廃棄が近い食材を使った料理のレシピを、「アプリ」を使って提案する実証実験が行われました。実際に料理を作って写真を投稿すると、店で使えるポイントがもらえる仕組みです。

このアプリを利用する掛端香織さん家族の、スーパーでの買い物に同行しました。アプリからは、全国的に需要が落ち込んでいた牛乳や、餅を使ったレシピが提案されました。餅は年末年始を過ぎると売れ残りやすく、こうした情報もアプリに反映されています。

アプリには餅を使ったレシピが
「豚キムチチーズもち」完成!

掛端さんは提案されたレシピを使って、ピリ辛の「豚キムチチーズもち」と、牛乳を使ったコーンスープを作りました。

「いただきます!」

アプリを利用する掛端香織さん
「料理のバリエーションがとても広がった。今まで考えたことがなかった食材にもチャレンジしてみようかなと思うようになった」

スーパーではアプリの利用でフードロスへの関心がさらに高まる可能性があるとして、さらなる活用を検討しています。

スーパー 成田寿 店長
「レシピを提案することでニーズを掘り起こすことができている。値引きしなくても、お客様に購入していただけるのではないか」

アプリを運営するサッポロホールディングス 経営企画部 保坂将志マネージャー
「『買ったはいいが、どうしたら食べられるのか』が必ず課題になるので、あらかじめ『こんなにすてきなレシピがあって、こんなにおいしく食べられる』と生活者の方に提案することで、購入へのハードルを一気に下げることができる」

消費者の側にもメリットを感じられる仕掛けをつくることで、フードロス対策に協力しようという人のすそ野が広がっていくのではないかと思います。
(経済番組 岩永奈々恵)
【2023年3月3日放送】

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