

対話式のAI=人工知能は、質問を入力すると、まるで人間のような回答をするとして注目されています。
この対話式AIを業務に活用し始めた企業があります。仕事のしかたが変わりつつあるというのですが、一体どう変わっているのでしょうか。
対話式AIを導入した不動産会社

東京・渋谷区の不動産会社「シーラテクノロジーズ」は、マンションのキャッチコピーを考えるために対話式AIを活用しています。立地や価格帯、コンセプトなどを入力すると、数秒で複数の案を提示してくれます。

社員からは「いろんな表現をしているから選びやすい」、「これ(AIの案)に肉付けして」などと声が上がりました。
人間とAI 組み合わせて「仕事が進化していく」
人事の業務でもAIを活用しています。例えば、「経理の求人に必要な項目と採用の際に質問すべき内容を教えて」と入力すると、すぐに詳しい文章が示されます。

AIが出した案を人の手で練り上げることで、時間短縮と質の向上につながるといいます。
不動産会社 杉本宏之CEO
「AIが答えを出してきた、人間がこう答える。これを組み合わせてこういうものを作っていこうという、まさしく仕事がどんどん進化していくことにつながっていくんだろう」
社員はどう感じた?
この会社では2月、アメリカの企業「OpenAI」が開発した対話式AI「ChatGPT」に自社の情報を学習させたアプリを、全社員に導入しました。
AIの登場で、みずからの役割を問い直す人もいます。営業担当の社員は、マンション購入に対して不安になった顧客への回答例を対話式AIで調べてみました。
すると、ローンの返済方法や管理・修繕など、客の不安に寄り添った回答案が返ってきました。


営業担当の社員
「便利だなと思いつつ、恐怖を感じる。営業マンの存在を脅かす存在になるんじゃないか」
プログラマーも対話式AIに衝撃を受けています。作りたいプログラムの内容を日本語で入力するだけで、自動で作ってくれるからです。
プログラマー
「今まで勉強したことの過半数がむだだったんじゃないかなと。どうAIを活用するかが大事になってくる」
この会社では入居者への対応も対話式AIに任せることで、人手やコストを減らせると見込んでいます。
問われる「使いこなし、やりたいことにつなげる力」
普及し始めた対話式AI。東京大学大学院の松尾豊教授は、その流れが劇的に進むと見ています。
東京大学大学院 松尾豊 教授
「各社が新しいサービスを出してくるだろうし、日本国内でも新しいサービスの開発がどんどん始まってくる。(AIを)使いこなして目的につなげていく。自分がやりたいことにつなげていく力が必要になってくると思う」

また松尾教授は、対話式AIの開発はアメリカや中国が先行しているので、経済安全保障の観点から日本も技術開発に注力するべきだと指摘しました。
課題は?
AIは間違った答えを出すこともあり注意が必要です。社内情報や個人情報をきちんと管理できるかといった課題もあります。可能性を感じる一方で、怖さを感じる人もいるかもしれません。
目的に向けて使いこなすことができるか、付き合い方が問われています。
(経済番組 新野高史)
【2023年3月14日放送】
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