AIロボットで無人化を 大学生CEOの挑戦

見た目はロッカーのようで、中身はコーヒーを作るAI(人工知能)搭載のロボット。開発したのは和歌山県出身の大学生、中尾渓人さん(22)です。AIとロボット技術を活用した無人化でより豊かな暮らしづくりに挑んでいます。

お好みのコーヒー AI搭載ロボットが提供

東京・新宿駅に設置されたカフェロボット。専用アプリで事前に注文すると、指定した時間にいれたてのコーヒーを作ってくれます

利用者の1人は「電車で注文してすぐ受け取れれば、ちょっと幸せな感じ」と笑顔。別の利用者は「香りが全然違う。ふだん飲んでいる缶コーヒーと全然違う」と味わっていました。

グアテマラやコスタリカなど7種類を超える高級なコーヒー豆のひきたてを、1杯450円で提供しています。

飲み終えたあと、アプリでコーヒーのコクや苦み、香りなどの感想を送ると、次からはAIが好みに合う豆をおすすめしてくれるようになります。

このカフェロボットを使うアプリのダウンロード数は2万5000件を超えています。

“ロボット少年”の志 ビジネスに開花

ロボットを開発した会社「New Innovations」の中尾渓人CEOは22歳の現役大学生です。

中尾渓人さん

「あらゆる業界を無人化するというビジョンでやっている」

幼いころから家電製品を分解して遊んでいたという中尾さんは、中学時代にはロボットサッカーの全国大会で優勝し、世界大会にも出場しました。当時から“ロボット少年”として注目されていました。

中学時代に受けたNHKの取材には「(ロボットは)完成というものがない。終わりがないからこそ、ずっと作り続けられる喜び、楽しみがある」と話していました。

その後もロボットと、それを動かすソフトウエアへの関心を高めていきました。

高校生の時に、AIを活用したロボットを作れば人が行っている作業やサービスを無人化できるのではと会社を立ち上げました。ロボットが人を支えることで、ゆとりある暮らしを実現したいと考えたのです

中尾さん

「テクノロジーによって精度よく無人化していく。人(の仕事)をなくしたいというニュアンスではなくて、より豊かな、より人らしい生活を送れる方を1人でも増やそうと」

人手不足の課題 無人化技術で挑む

現在、カフェロボットは全国9か所に設置。2500台に増やすのが目標です。

将来は人手不足の介護や建設の分野にもAIとロボット技術を生かしたいと考え、「社会の深い課題、いま顕在化している課題を解決することで価値提供していきたい」と話しています。

海外の有名ブランドと連携して、洋服やバッグなどを無人で受け渡しできるショーケース兼ロッカーも開発しました。新しい発想でどんなものを生み出していくか、期待したいと思います。

(和歌山局 ディレクター 橋本亮)

【2022年3月29日放送】