進化する野菜工場

野菜工場は安定的な供給ができる一方、コスト面で採算がとりにくいという課題があります。大規模化や自動化を一段と進めることで、安定供給と採算を両立させる動きが今、出てきています。

スプラウト生産能力2倍 光・水・空気を自動調整

自動栽培装置が並ぶ栽培室。生産しているのは…
回転させながら育てるブロッコリースプラウト

山梨県北杜市にある最新の野菜工場は広さ約9500平方メートル。264台の自動栽培装置がブロッコリースプラウトを生産しています。

特徴は徹底した省力化です。スプラウトは回転させながら育てます。この工場の装置は、光・水・空気の調整を人の手ではなく自動で行うことができます。

生育状況は科学的なデータ分析で数値化し、成長の具合によって装置の回転数などを調整します。こうした自動化によって生産能力が2倍になり、1日最大10万パックを生産します。

自動化で生産能力が2倍に

世界からこのシステムを導入したいと引き合いがあり、台湾では実際に現地企業の工場が稼働しています。

ブロッコリースプラウトを生産する会社「村上農園」 広報マーケティング室 松井真実子 次長
「1年中どんな環境であっても、安定して高品質なものが作れるのがメリット。食料の安定供給が問題化されている中で、本当に一定の貢献ができると思っている」

レタスの収穫量が面積当たり1.8倍 7割以上を自動化

広大な敷地に建つレタス工場

千葉県芝山町にある国内有数の規模のレタス工場では、28段もの棚で、レタスがLED照明で栽培されていて、1日最大4トンを生産します。

従来は成長に合わせてレタスどうしの間隔を人の手で調整していましたが、最新の工場ではロボットが間隔を再配置します。

種まきから収穫、運搬までの工程の7割以上で自動化を実現しました。

人の作業スペースを減らし、その分、栽培する場所を増やすなどして、面積当たりの収穫量は従来の約1.8倍に増えました。

生産システムを開発した「スプレッド」 久保山敏之 取締役
「工場のスマートファクトリーと言われているが、無人化にいかに近づけていくかが次のわれわれが進んでいくところ」

工場を運営する「Jリーフ」 上原淳 社長
「植物工場のような事業がどんどん増えていくことで、日本の食だったり農だったり、課題解決の一助になる。ニーズのほうにも支えられてどんどん伸びていくのではないか」

工場で生産された野菜の価格は、価格が変動しやすい露地ものと一概には比べられませんが、レタス工場の商品の場合170円前後で売られているそうです。

地域の生産者もしっかりと守りつつ、野菜工場の商品もうまく使っていくことが大事になるかもしれません。
【2023年3月13日放送】

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