台湾 半導体の人材戦略 リスキリング講座も開設

半導体の受託生産で世界トップに立つ台湾。先端産業を支える人をどう育成しているのでしょうか?

半導体人材 月平均3万5000人不足?

半導体の検査などを行う台湾企業「Ardentec」。従業員数は1700人で、高い技術力が評価され、取り扱う半導体は日本の自動車にも使われているといいます。

需要の高まりとともに事業規模を拡大し、2024年には2か所の工場を新設する予定です。業績をさらに伸ばすために人材確保を急いでいます。

半導体の検査などを行う台湾企業 張季明 社長
「私たちはより多くの人を必要としている。今後どう人手を確保するかは大きな挑戦だ」

ある調査では、台湾の半導体業界では月に平均3万5000人が不足しているという結果も出ています。

大学で「リスキリング講座」 授業料の8割以上を補助

大学で行われている半導体のリスキリング講座

そこでいま台湾当局は半導体の人材育成のために、社会人の学び直し=「リスキリング講座」の大規模な支援を進めています。台湾各地の大学で、基礎から応用まで半導体関連の知識を学べる授業が開設されています。

陽明交通大学の場合、授業は2か月間、週に5日~6日、午前10時~午後5時半まで行われ、授業料の8割以上を当局が負担します。

受講者の多くは、給与水準の高い半導体業界への転職を目指す人たちです。講座は人気で、申し込みの倍率は3倍を超えるといいます。

受講者の一人は「このような機会があると自分の能力を高めることができる」と話しました。また別の受講者は「ここで学んだあと、半導体関連の仕事をうまく探せるといいと思う」と話しました。

講座を開いている大学の幹部は、成長産業に幅広い分野から即戦力となる人材を呼び込む土台になると考えています。

陽明交通大学 陳永富 副校長
「半導体人材全体では、修士・博士課程の学生に加え中堅の人材がもっと必要だ。講座を通じて、ほかの分野で働いていた人たちも参加してくると、半導体産業はより多様に展開できると思う」

企業集積地では高校から半導体教育

台湾では、さらに若い世代の育成も進めています。半導体関連の企業が集積する地域では、高校に大学の講師を招き、半導体の授業をする取り組みも行われています。

半導体を含む高度な人材の不足は日本でも大きな課題で、台湾に学ぶべきところもありそうです。
(国際部 関谷智)
【2023年3月8日放送】
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