TSMC工場建設で沸く熊本 台湾と「ふりかけ」でつながる?

  • 国際経済

半導体の受託生産で世界最大手の台湾・TSMCが進出する熊本。2023年内の完成に向け工場の建設工事が急ピッチで進んでいます。

この工場進出をきっかけに、台湾の半導体関連会社の経営者が、熊本の名産品・ふりかけを台湾に広めようとしています。半導体にとどまらないビジネスのつながりが生まれようとしています。

熊本・菊陽町で建設が進むTSMCの工場

台湾にふりかけ広める半導体関連会社社長

台湾・台北にある小学校。お弁当の時間に子どもたちが手にしているのは、熊本産のふりかけです。ふりかけは台湾では珍しいといいます。感想を聞いてみると、ある子どもは「とてもおいしい。小魚とのりが入っていて、すごくおいしい」と話しました。

日本のふりかけを広めているのは、台湾で半導体関連の会社を経営する陸伯壎(りく・はくけん)さんです。

陸伯壎さん

陸さんはかつて東京の大学院に留学し、卒業後は約20年間、日本の半導体関連会社で働きました。その時の人脈を生かし、現在は日本と台湾の間で企業進出をサポートしています。

日本の半導体関連会社で働いていたころの陸さん(左)

台湾の半導体関連会社社長 陸伯壎さん
「日本に対してものすごく感謝の気持ちをもっている。恩返しという気持ちがある」

「半導体にとどまらない交流を」

陸さんはTSMCの熊本工場進出をきっかけに、熊本に本部がある「国際ふりかけ協議会」と親交を深めるようになります。

この団体は、地元の名産品・ふりかけを国内外にアピールすることで、文化やビジネス面での交流を進めています。

国際ふりかけ協議会のラオスでの活動

陸さんはこの団体から「台湾でも半導体にとどまらない交流を生み出していきたい」と相談を受け、二つ返事で引き受けました。

台湾の大手食品会社 技術供与受け開発検討

陸さんは、経済界の人脈を通して紹介された台湾の大手食品会社「蘭揚食品」を訪れ、台湾でふりかけを広められるか、社長に可能性を尋ねてみました。

陸根田社長は「ふりかけは栄養があり、おいしくて消化しやすい。将来、高齢者の食事に使われると思う」と話し、この食品会社は、日本の製造技術の供与を受けてふりかけの開発を検討していくことになりました。

陸伯壎さん
「私の今までのキャリアを生かして、日本の懸け橋として、少しでも自分が貢献できることならば貢献したい」

陸さんのこうした活動はボランティアで行われているそうです。交流を通じて息の長い信頼関係が築かれてほしいと思います。
(熊本局 松尾幸明)
【2023年2月28日放送】
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