ゆっくり進む 最先端の乗り物!

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「タイパ」(=タイムパフォーマンス)の重視など、効率を求めがちな世の中。あえて、流れる時間や景色をゆっくりと楽しむ乗り物の開発が進められています。

ゾウのようにゆっくり歩くロボット

車が、みるみるうちに人型ロボットに。開発したのは、遊園地の遊具などを手がける会社「三精テクノロジーズ」です。

車→人型に変化するロボット。つくった会社がいま開発しているのは…
あえて、ゆっくり歩く4足歩行ロボット

この会社は今、ゾウのようにゆっくり歩く、4足歩行ロボットの開発に取り組んでいます。

創業70年余り培った技術を使ったこのロボットは、4人乗りで、日ごろは見られない高いところからの景色を楽しむことができます。テーマパークや動物園などでの活用を想定しているということです。

高い場所から眺めを楽しむ。テーマパークなどで活用?

スムーズな移動のためにこだわったのが、足の付け根の部分です。小回りができるように可動域を広げました。今後、安全性の向上に向けた改良を行い、商品化したいとしています。

足の付け根の可動域を広げ、小回りも

遊具などを手がける会社 宮﨑和也 常務執行役員
「昨今、非常に慌ただしい、せかせかした日常を過ごしている。時間にこだわらず、ゆったりとした時間を過ごす文化もある。十分に活躍できるのではないか」

進化した「屋形船」のようなロボット

お堀をゆっくりと進むのは自動運転の船型ロボット。船舶免許がいらない3メートル四方の大きさで、人が歩く速さと同じくらいの速度で進みます。最大8人乗ることができて、大手ゼネコンの竹中工務店が中心となって開発が進められています。

乗客がカフェに見立てた別のロボットに飲み物を注文して運んでもらったり、ドローンで食事を運んでもらって、景色と食事を楽しんだりすることも想定しています。

飲み物を注文したり…
ドローンで食事を運んでもらったり

船の動かし方も進化しています。コースをタブレット端末で設定すると、GPSの位置情報をもとに進み、自動で桟橋に戻ることもできます。

コースはタブレットで設定

開発に携わる「炎重工」 古澤洋将 代表取締役
「(GPSの精度は)約プラスマイナス10センチの精度を持っている。将来的には精度をプラスマイナス数センチまで上げていき、着岸した際に自動充電するところまで持っていきたい」

日本の都市に多い水辺をゆったり過ごせる空間にしようとのねらいもあるこのロボットは、災害時には橋の代わりにするなどの活用法も検討されています。

大手ゼネコン まちづくり戦略室 高浜洋平さん
「スピードはゆっくり。ただ、すごく静かにアメンボのようにすいすいと動いていく。水の中に浮かぶことによって、においとか音とか、五感で日本の自然を楽しんでもらえたら」

「移動を楽しむ」ニーズ高まる?

あえてゆっくりとした移動を目指す乗り物について、ひとの行動とまちづくりを研究する専門家は次のように指摘しています。

日建設計総合研究所 吉本憲生 主任研究員
「コロナ禍以降、リモートワークや配送サービスの普及により、『必要に迫られた』移動が減る一方で、『楽しむ』移動へのニーズが高まってきているのではないか。『早く・安く』という従来の価値観から、『快適さ・楽しさ』を重視する流れが出てきているのではないかと考えられる」

吉本憲生 主任研究員

今後は、移動する空間をどう魅力的に整備するか、安全性をどう十分に確保するかなどが課題と言えそうです。
【2023年2月8日放送】
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