島根県の隠岐諸島は、火山活動をきっかけにできた地形や独自の生態系が評価されてユネスコの「世界ジオパーク」に認定されるなど、豊かな自然に恵まれています。
近年、観光客の減少に悩んでいますが、いま島の魅力発信に全国各地からの移住者が一役買っています。
従業員の大半が移住者
隠岐諸島の海士町に2021年7月にオープンしたホテル。観光客の減少に悩んだ町が、過去最大規模となる20億円の予算を投じて老朽化したホテルを建て替えました。
訪れた客は部屋に入ると、「すごい、正面が海だ」と歓声を上げました。「想像以上かも。ドアを開けた時の海がぱっと見えた瞬間に『やった!』と思った」と話します。
ここでは約30人が働いていて、従業員の大半が移住者です。町は以前から移住に力を入れていて、移住者はいまや住民の2割近くに上ります。
福岡から移住したスタッフは海士町の魅力について「自然がすごく近くて、海のきれいさに驚いた。すごく人がやさしい」と言います。
また札幌から移住したスタッフは「いろんな暮らしで助けてもらったり。『これあるから、おすそ分け』って」と笑顔を見せました。
移住者が観光客をガイド
島の人が作った料理を楽しむイベントや、移住者がガイドとなって島内を案内するツアーも行われています。住んだからこそ分かる自然や人の魅力を観光客にも感じてもらうねらいです。
移住者がガイドを行うツアーを取材すると、島内を散策しながら「いま、お米作りをしているのは、島前三島の中で中ノ島だけです」などと地域の特徴を説明していました。
ガイドを務めた移住者の女性は「私もこの島で楽しく暮らしているので、ぜひ景勝地を巡るだけでなく、いっぱい島民の方としゃべる素敵な旅にしてほしいです」と観光客に語りかけていました。
島内外の出会いを促進する存在に
こうしたツアーなどを行い施設を経営する会社の代表を務める青山敦士さんは、みずからも移住して15年になります。
島の人たちと交流の機会を増やすことで、さらに人を呼び込めるのではないかと考えています。
代表 青山敦士さん
「来年以降、インバウンドも含めて世界中からたくさんのゲストにお越しいただいて、それによっていろんな出会いが地域の中に波及していくことは、ものすごく手触りとして感じているので、出会いを促進していくような存在になっていきたい」
青山さんたちは今後、海士町だけでなく隠岐諸島全体の活性化に向けて取り組みを広げていきたいとしています。
(松江局 太田雄造)
【2022年11月22日放送】
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