インバウンド再開 スマホでホテルの接客や観光ガイドを

6月10日から外国人観光客の受け入れが再開されます。各地のホテルや自治体は、コロナ禍で進んだデジタルのサービスをスマートフォンで提供し、日本の旅を便利に、そして安全安心なものにしようと準備を進めています。

非対面・非接触 109言語でホテルサービス

成田空港の近くにあるホテル「ANAクラウンプラザホテル成田」は4月から、390室ある客室すべてに、QRコードを使ったサービスを導入しました。

客が自分のスマートフォンでQRコードを読み取るとホテルの案内が英語で表示され、備品の貸し出しやルームサービスの注文などができます。さらに、ホテルのスタッフとチャットでやり取りする機能もあります。

内容は自動で翻訳されます。ホテルのスタッフが日本語で返信すれば、翻訳されて客に届く仕組みです。英語だけでなく中国語やスペイン語など109の言語に対応しています。

ホテル 能勢崇さん
「お客様も言葉が通じないことによってどちらかというと消極的になっているところを、そこにも手厚いサービスができるようになったらいいなと思っている」

大手旅行代理店のJTBなどが開発したこのサービスは、現在230のホテルで導入されています。

大手旅行代理店 板谷優之介さん
「インバウンドの2年ぶりの再開は非常に歓迎している。非対面・非接触でお客様とやり取りができる部分が、お客様に安心安全な環境を提供していくというところで(利用の広がりを)期待している」

スマホで観光ガイド 名古屋市などが導入

観光ガイドをスマートフォンで行えるようにしようという取り組みもあります。古い町屋や蔵などが残る名古屋市の四間道(しけみち)エリアで、市が3月から導入したのが、スマートフォンから英語で観光案内が流れるアプリです。大手の音楽会社が開発しました。

アプリを開くと、このエリアの地図、そして数字が書かれた青いピンが表示されます。順番どおりに歩くと町の見どころを効率よく回れるコースになっています。

スマートフォンの位置情報と連動していて、ピンがある場所に行くと自動で英語のガイドが流れる仕組みです。

古い町並みにさしかかれば「今も蔵が残る町並みがすてきですね。自分のペースで歩きながら歴史ある風景を楽しみましょう」、神社を訪れると「こま犬が出迎えてくれて、なんとも静かな雰囲気の神社ですね」といった具合です。

大きな声を出したり集まったりせずに観光ガイドを受けられるこのサービス。市は今後も案内が流れる場所を増やしていきたいと考えています。

名古屋市観光推進課 松川紀章係長
「感染対策等のことも考えつつ、インバウンドの方に名古屋を楽しんでいただける施策を考えていくことが必要」

観光案内のアプリは、福島県会津若松市や和歌山市、福岡市などでも導入しているそうです。

今回の外国人観光客の受け入れ再開にあたって、まず大事なのは感染対策で、安全安心な旅を提供することが重要です。その上で、こうしたデジタルのおもてなしが、日本が訪れたい旅先に選ばれるカギとなるかもしれません。
【2022年6月6日放送】