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羽田空港国際線ターミナルで、外国人観光客に注目されている店があります。日本各地の伝統工芸の逸品を集めたブランドショップです。
日本を訪れた外国人旅行者が4月に304万人余りと、2か月連続で300万人を超える中、日本の職人技をブランド化してアピールし、世界の市場を開拓しようという取り組みを、神子田章博キャスターが伝えます。
日本の職人技が並ぶブランドショップ
日本各地の逸品を集めたブランドショップ「ジャパン マスタリー コレクション」を訪ねました。店頭には、まげ木の加工技術を生かした名刺入れや、表情が緻密に彫り込まれた一刀彫のだるまなど、職人の技を存分に生かした商品が並んでいました。
商品の説明は店頭に表示されているQRコードからもアクセスできて、目利きのバイヤーによる商品の背景や、製作体験などの情報を得ることができます。商品ができた由来や作り方まで知ってもらう仕掛けです。
店を訪れていた観光客は…
また、台湾から家族連れで訪れたという男性は…
この男性に、商品を自分で作る体験ができることを伝えると、「本当ですか、興味あります」と関心を示していました。
「日本の作り手にお金が落ちる仕組みを」
この店を仕掛けたのは、大手デパートの三越伊勢丹ホールディングスでトップを務め、さまざまなブランドを育ててきた大西洋さんです。
大西さんは、海外ブランドの素材などに使われてきた日本の伝統技術について、それ自体がブランドとしてもっと評価されるべきだと考えています。
日本各地の品を集めたブランドショップを運営する「羽田未来総合研究所」 大西洋 社長
「日本の流通小売業は海外のブランドにあまりにも依存しすぎ。(日本の)作り手にお金がもっと落ちるような仕組みをオールジャパンでつくっていく必要があるんじゃないか」
多くの外国人が訪れる羽田空港を拠点に、日本の職人技をブランド化し、価値に見合う価格で海外に販路を広げていくことで、地域経済にも貢献できると考えています。
大西社長
「地方の工場に行ったり地方の職人さんとお話していると、いろんなストーリーとか、ものすごくしっかりしていて、そういうものがもっともっと評価されて地元の経済にうまく循環していくようになることが、日本にとっても大きな力になっていく」
羽田に出品 販売点数が倍増した工芸品
こうした動きが新たな活力となっている伝統工芸の現場があります。香川県の「讃岐かがり手まり」は、一度は途絶えた工芸でしたが、のちに地域の人たちの手によって復興を遂げました。
これまでは地域の物産館やオンラインショップを中心に販売してきましたが、およそ半年前に羽田の店舗に商品を出品するようになってから販売点数が倍以上に増えたといいます。
讃岐かがり手まり保存会に長年携わってきた 溝渕友恵さん
「『こんなの見たの初めて』と言ってくれる方が増えた。本当に取り引きさせていただいてよかったなと思っている」
溝渕さんは羽田空港での出品をきっかけに、日本を再び訪れた外国人に、工房にも足を運んでもらいたいと考えています。
溝渕さん
「やっぱり、ここの現場を見てほしい。積み重ねてきた技術がこの(手まり)1個に込められているので、その思いもくみ取っていただけるとずっと大切にしていただける」
インバウンド通じ「日本再発見」を
日本人も知らなかったり気づかなかったりした各地方の良さを、外国人旅行者をきっかけにして気づくこともあるかと思います。
「RDJ」=Re Discover Japan(日本再発見)によって、外国人のみならず多くの日本人がその土地を訪れるようになれば、地域経済の起爆剤となるかもしれません。
(経済番組 家坂徳二)
【2024年5月24日放送】