アメリカ 夏の“リベンジ旅行”にもインフレの影響が

アメリカでは6月の消費者物価指数が2021年の同じ月に比べ9.1%上昇し、記録的な物価上昇が続いています。すでに夏の旅行シーズンが始まっていますが、激しいインフレで人々の旅行のあり方も大きく変わろうとしています。

夏休みシーズン突入 海外旅行がブーム

夏休みシーズンに入ったアメリカでブームになっているのが、海外への旅行です。人気が高いのは規制が緩和されたヨーロッパ。旅行客の数は2021年の7倍に達する見込みです。

ロサンゼルス国際空港で6月、搭乗を待つ人たちに行き先を聞いてみると、「イタリア、ローマへ向かう。この3年どこにも行けなかったので」、「アムステルダム、プラハ、マドリードへ行く」、「レッツゴー、バケーション!」などと答えてくれました。

インフレで旅行計画を変更した5人家族

ミネソタ州に住むミッシェル・シャイネスさんは、5人家族で3年ぶりに海外へ旅行に行くことにしました。

ミッシェル・シャイネスさん

「(去年とおととしは)国内を車で旅行してきたが、感染の状況もよくなってきているので海外に行けることに興奮している」

しかし、以前と大きく変わったのが費用です。シャイネスさんはフランスに行きたいと考えていましたが、価格優先で行き先を決めることにしました。

安いチケットが出たタイミングで、メールで知らせてくれるサービスに登録。1人往復5万5000円のチケットが見つかりアイスランドに行き先を変更しました。

民泊利用、旅先で自炊…節約を徹底

さらに食費を浮かせるため、食材は可能な限り自宅から持っていくことにしました。スーツケースにはコーヒーやグラノーラバー、子どもたち用のマカロニやチーズなどをいっぱいに詰めました。

旅先で利用したのは、キッチンがある民泊です。夕食を手作りのハンバーガーとサラダにした日もあり、レストランで食べるより格段に安く済みました。

観光は、お金がかかる街の中心部を避け、大自然の中でハイキングなどを楽しみました。

シャイネスさん

「節約方法を探せば(旅行が)可能。すばらしい機会なのでおすすめです」

アメリカではこの夏、旅行に行く人の7割近くがインフレの影響で計画を変えると答えました。夏の一大イベントである旅行もインフレと無縁ではいられません。

トラベルアドバイザー マニュエラ・モカンさん

「価格の高騰は手に負えないところまできている。インフレはしばらく続くと見られ、避けて通ることはできない」

シャイネスさん一家は節約して新しい旅の楽しみ方を発見したようです。アメリカでは広い国土に家族がバラバラに住んで夏の旅行の時だけ顔を合わせる人もいるといい、旅行は一家が集まる貴重な機会ともなっています。コロナ禍を経て家族がそろって元気に旅行できるのは幸せなことだと改めて思いました。

(ロサンゼルス支局 記者 山田奈々)

【2022年7月14日放送】

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