セットに盛り込まれているのは、ようかんやクッキー、チョコパン、そしてゼリーと「甘いもの」ばかり。
あわせて7種類が盛り込まれています。
その場で食べられるように、ハンドペーパーやフォークも入っていて、災害時にも手軽に食べられるようになっています。

この「甘いもの」の非常食セットが販売されるきっかけは、会社が募った災害時の体験談です。
ツイッターで東日本大震災の被災直後に何が必要だったのか聞いたところ、「甘いものを食べたくなりうずうずした」「甘いもので正気に戻った」などと、甘いものに助けられたという声が数多く集まりました。
災害時の「甘いもの」は、体だけでなく「心の栄養補給」にもなっていたのです。
こうした声を受けて発売された「甘いもの」ばかりを集めた非常食のセットは、東日本大震災を教訓に、食べやすさや飲みやすさも重視して選んでいます。

「災害時にはいろんな不安が重なるので、日常食べているほっとするものが災害時にもあれば安心できるのではないかと考えました」
災害時に甘いものを求める人が多いことはデータでもわかります。
国内最大手の料理レシピサイトの運営会社「クックパッド」が2019年に、災害で自宅にとどまって避難生活をする「在宅避難」を経験した全国の1191人に対して行った、アンケートの結果です。

自宅で「役に立った食材」について聞いたところ、缶詰や飲料水などに続いて「お菓子」が選ばれました。
お米やレトルトのご飯などよりも、評価されていたことがわかります。
この「甘いもの」、実は1995年の阪神・淡路大震災でも重宝されていました。

この写真は、当時、被災した子どもたちのために神戸市内を巡回した「移動駄菓子屋」です。
現在は、全国で防災の啓発活動を行っている神戸市の一般社団法人「おいしい防災塾」の代表理事・西谷真弓さんが、自前で軽トラックを購入して、公園や仮設住宅などで駄菓子を売り出しました。
すると、10円玉を握りしめて、うれしそうに買い求める子どもたちの姿があったということです。
このように「甘いもの」は災害時に子どもの心を落ち着かせる役割も果たしていました。
管理栄養士で、災害時の食について詳しい、宮城学院女子大学の丹野久美子准教授は次のように話しています。

「ストレスがかかると、脳のエネルギーが使われてしまうので、枯渇してくる。それを補うのに、糖は重要な意味を持つので、甘いものが欲しくなる。このため、甘いものを摂取するのは、大切なことだと思います」
(山形放送局 堀征巳)
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