教えて先輩!俳優 町田啓太さん

経験はむだにならない、たとえ失敗しても

2023年07月21日
(聞き手:田嶋瑞貴、堀祐理)

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多彩な表現力で幅広い役柄を演じ、テレビや映画に引っ張りだこの俳優・町田啓太さん。でも、今日に至るまでの道のりは決して順調ではなかったと言います。時に苦しい経験や変化に対応していくための柔軟性を持つ秘けつとは?

抜刀斎にパイロットに

学生

町田さんは最初から俳優を目指していたわけではなく、高校時代は航空学校に通われていたとお伺いしました。

どうして航空学校に行こうと思ったんですか?

高校を選ぶことは、社会に出る前の大きな分岐点じゃないですか。

俳優
町田啓太さん

僕は群馬県の田舎町で育ったので、外に出ていろいろな経験をしてみたいと思っていました。

そうやって進路を考えていた時に、航空学校の資料を目にして。

興味本位だったんですが一回、試験を受けたんです。

そんなに成績はよくなかったはずなんですが、たまたま縁があって行くことができたんですね。

俳優 町田啓太さん

1990年生まれ、群馬県出身。劇団EXILEのメンバー。2014年連続テレビ小説『花子とアン』の村岡郁弥役で話題に。以後活躍の幅を広げ、映画やドラマの話題作に次々と出演。現在、NHK総合で放送中の『漫画家イエナガの複雑社会を超定義』にも出演中。

どんなところに興味があったんですか?

小さいころから機械が好きで、空を飛ぶってどんな感じなんだろうと思っていました。

学生
田嶋

昔から興味があることには気軽に挑戦していたんですか?

いろいろ影響を受けやすかったですね。

たとえば小学生の時は『るろうに剣心』が好きで「僕は抜刀斎になりたいんだ」と思って剣道していましたね。

“とりあえずやってみよう”の一歩は軽め

本格的に俳優の道に進まれた時はゼロからオーディションなどを受けていたんですか?

進んだというより「チャンスをもらった」というほうが合っているのかなと思っていて。

NHKの朝の連続テレビ小説「花子とアン」のオーディションを受けた時は、今よりも日焼けをしていてツイストパーマをかけたギラギラとしたスタイルだったんです。

それで案の定、「配役と印象が全然違うじゃん」と言われてしまって(笑)

それにもかかわらずオーディションに合格できたんですが、後々、その理由を聞いたら「なんとなく笑顔が印象的だったから」と。

本当にそれだけだったんですよ。

何がきっかけになるのか分からないなと思いましたね。

その「最初の一歩」を踏み出す勇気がないって思う人も多いんじゃないかと思います。

そうですよね。僕はその一歩がいつも軽めな気がしていて

興味を持ったらとりあえずやってみようって。

信念とかそういうかっこいいことではなくて、「やらないと心地悪い」という気持ちがあったのかもしれないですね。

順調ではなかった道のり

「花子とアン」のオーディションに受かった後のお仕事は順調だったんですか?

壁から出てくる幽霊役をやったり、不良A・B役のB役をやったりといった感じだったので、個人的には決して順調だったとは言えないと思っています。

そういった時期もあったんですね。

自分が思うようにいかない時、気持ちをどう保たれていたんですか?

正直、ぐちゃぐちゃになっていました。

同世代で活躍している人たちは挑戦しているステージが全然違っていたので、やっぱり精神的にくる部分もありました。

当時は自分が思い描いている自分と、実際の自分にギャップがあって。

それに対して、何でなんだという悔しい思いをしていました。

でも、結局、前に進むしかないんですよね

前に進むしかないから「とりあえず進んでみよう」という感じでした。

俳優の仕事で成長するための秘けつみたいなものはあるんですか?

そうですね。

たくさんの選択肢がある中で何をチョイスしていいか本当にわからないですし、これをやっていれば絶対間違いないと言うことがないんですよね。

それぞれに合ったやり方があって、それを自分で見つけてやっていくって、かなり大変だなって思ってましたね。

どうにかこうにか、自分のやり方を見つけて今もやっている感じですね。

自己分析っていちばん大変

町田さんはご自分の魅力をどう分析されていますか?

自分のアイデンティティーや価値観、感性というものを作品やキャラクターにのせようとする時に、いろんなことを考えなきゃいけないんです。

そんな中で、考えることを諦めないようにしています。

どんなに考えても正解はないんですけれど。

みなさんも、就活で自分の良さを相手に伝えるにはどうしたらいいのかなって悩みませんでした?

すごく悩みました…。

人ってそれぞれ良いところ、強みが絶対ある。

自分の生い立ちや今まで来た道のりを1回考えて、「自分を理解する」って僕らの仕事でも結構大事なのかなと思います。

そうなんですか!

ドラマや映画、ファッション雑誌など多方面で活躍中

僕らの仕事は、分析するのも大切な仕事の1つなんです。

キャラクターであったり作品や絵など。

なぜそうなのかというのを掘っていくためには自分自身を分かっていないと、すり合わせができないと思うんです。

自己分析すればするほど何がしたいのかわからなくなってしまう、という悩みを抱えている学生も多いと思います。

アドバイスになるかわからないけど、一度リラックスして、自分を面白がっちゃえばいいんじゃないかなと思います。

「楽しんで考える」ということを意識してみたらどうかなって。

経験はむだにならない

幅広い役を演じられるのが町田さんの魅力の1つだと言われています。

さまざまな経験が、役者として生きてらっしゃるんですね。

ありがとうございます。

経験は絶対にむだになることはないと思いますね。

たとえ、失敗したとしても

失敗した時のことを考えると、なかなかそうは思えない気もします…。

絶対に成功させたいって思えば思うほどそうですよね。

そういう時は、失敗はないからと自分に言い聞かせます。

そして、そうやって道を切り開こうとして頑張ってる自分をまずはちゃんとほめてあげたら気持ちが楽になるんじゃないかなと思います。

これだけ行動できる自分はすごくない!?って。

そうです、「自分大好き」でいいじゃないですか

仕事は全部ではない、自分の一部分

町田さんにとって仕事とは何かっていうのを、お伺いしたいです。

難しい質問だ…。うーん。

「自分の一部」です。

仕事が自分の全てになってしまうと大変ですよね。

なので、僕はあくまでも自分の生活の一部として考えるようにしていますね。

それは気持ちのうえで、ということですか?

そうですね。

仕事のためだけに生きている訳じゃない、ということですかね。

自分のライフスタイルの一部分と思って、でもそこにちゃんと誇りを持って。

そのうえで、よい仕事ができるようにアクションを起こしていくことが一番じゃないかと僕は思います。

今後のキャリアプランについて聞かせてください。

キャリアプランか~!すごいな、みなさん就活でも聞かれるんですか?

いっぱいありますが、自分がよりよいものに挑戦することで自分を見てくれる人が前向きな気持ちになってくれたらすごく楽しいですしやりがいがあるなと思います

世の中の何かをよくできるようなキャリアを積んでいきたいなと思います。

就活生にメッセージ

最後に就活生にメッセージをお願いします。

いわゆる就活を経験していない僕が本当に申し訳ないですが、うらやましいなと思うんですよ。

え、どうしてですか。

何でもできるじゃないですか。

何でもできるし、何にでもなれる可能性がある

もちろん、迷うこともたくさんあるかもしれませんが、考えたり迷った分だけ何かあとで自分に返ってくるものだと思うんです。

思いっきり迷って、思いっきり楽しんでもらえたらいいんじゃないかなって。

僕も皆さんのように頑張っていきたいと思います。

ありがとうございます!!

【番組情報】

町田啓太さんが出演中の毎週金曜夜11時15分からの「漫画家イエナガの複雑社会を超定義」の番組ホームページはこちらから。

 

(※以下はNHKサイトを離れます)

また、番組公式のインスタグラムツイッターでも情報発信しているほか、YouTubeのサイトでも町田さんが話題のテーマを5分で解説する「神解説」をご覧いただけます。

撮影:藤原こと子 編集:秋元宏美

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