国産ワクチンの開発状況に関するQ&Aをまとめました。

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    Q.臨床試験の状況、国内勢は?

    A.
    WHO=世界保健機関のまとめによりますと、2021年4月9日時点で、新型コロナウイルスのワクチンの臨床試験は、世界各国で87件行われていて臨床試験に入る前の段階にあるものは186件あります。

    臨床試験が行われている87件のうち、▼遺伝子組み換え技術を使ってウイルスのたんぱく質の一部を人工的に作って投与し、体の中でウイルスを攻撃する抗体を作る「組み換えたんぱく質ワクチン」が28件と最も多くなっています。

    続いて▼ウイルスの遺伝子の一部を別の無害なウイルスに組み込んで投与する「ウイルスベクターワクチン」が19件、▼ウイルスを処理して毒性をなくしたものを投与する「不活化ワクチン」が12件、▼人工的に合成したウイルスの遺伝子を投与する「RNAワクチン」が12件、「DNAワクチン」が10件などとなっています。

    日本国内で最初に接種が始まったアメリカの製薬大手、ファイザーなどが開発したワクチンは、「mRNAワクチン」でウイルスの表面にあるスパイクたんぱく質を作るための遺伝情報を伝達する物質、「mRNA」を使っています。

    こうしたタイプのワクチンが実用化されたのは初めてで、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を機に一気に開発が進みました。

    国内のメーカー

    日本国内のメーカーでは、大阪のバイオベンチャー企業、アンジェスが500人規模での臨床試験を行っています。

    この会社のワクチンは、遺伝子ワクチンの一種のDNAワクチンで、人工的に合成したDNAを投与して、ウイルスを攻撃する抗体を体の中で作る仕組みです。

    また、大阪に本社がある製薬大手、塩野義製薬は214人を対象に「組み換えたんぱく質ワクチン」の臨床試験を行っています。

    さらに2021年3月下旬からは、▼製薬大手の第一三共が152人を対象に「mRNAワクチン」の臨床試験を、▼熊本市に本社があるワクチンメーカーのKMバイオロジクスが210人を対象に「不活化ワクチン」の臨床試験を始めています。

    ほかにも▼バイオベンチャー企業のIDファーマが「ウイルスベクターワクチン」の開発を進め、臨床試験の実施を目指しています。

    ただ、日本で行う臨床試験には課題があり、欧米や南米などと比べると感染者の数が少なく、臨床試験に参加した人が感染する可能性が各国に比べると低いため、ワクチンの効果を確かめるのは難しいと指摘されています。

    このため、国内で医薬品の審査を行うPMDA=医薬品医療機器総合機構は、国内で少人数を対象に行う初期段階の臨床試験を終えたあとは、海外で大規模な臨床試験を行うことも選択肢の1つだとしています。

    海外メーカーも国内で臨床試験

    一方、ワクチンを開発している海外の製薬会社も日本国内で臨床試験を行っています。

    日本政府が供給を受ける契約を交わした欧米の3社のうち、アメリカの製薬大手、ファイザーは「mRNAワクチン」について、海外で行った臨床試験の結果と国内で行った小規模な臨床試験の結果をあわせて承認申請を行い、2021年2月に承認されて接種が行われています。

    イギリスの製薬大手アストラゼネカは「ウイルスベクターワクチン」について、2021年2月に承認申請を行っていて今後、審査の結果、承認されると、接種が始まることになります。アメリカのモデルナ社が開発した「mRNAワクチン」については日本の武田薬品が国内で臨床試験を行っていて、2021年3月、承認申請を行いました。

    このほか、武田薬品は、アメリカのバイオ企業、ノババックス社が開発した「組み換えたんぱく質ワクチン」についても国内で臨床試験を行っています。

    また、アメリカの製薬大手、ジョンソン・エンド・ジョンソンの「ウイルスベクターワクチン」についても国内で臨床試験が行われています。

    (2021年4月12日時点)

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    Q.国産ワクチン 開発の現状は?

    A.
    新型コロナウイルスのワクチン開発は日本国内でも進められていて、国産のワクチンとしてはこれまでに2社が実際に人に投与して安全性などを確認する臨床試験を始めています。

    このうち大阪にあるバイオベンチャー企業のアンジェスは、国産ワクチンとしては最も早い2020年6月に臨床試験を始め、12月からは対象者を500人に増やして臨床試験を続けています。

    この会社は、ウイルスそのものではなく遺伝子を使ったワクチンの一種「DNAワクチン」を開発していて、投与することで体の中でウイルスを攻撃する抗体を作る仕組みです。

    また大阪に本社がある製薬大手、塩野義製薬は12月16日、214人を対象に臨床試験を始めました。

    開発しているのは「組み換えたんぱく質ワクチン」というタイプで、遺伝子組み換え技術を使ってウイルスのたんぱく質の一部だけを人工的に作って投与し、体の中で抗体を作り出します。

    ただ日本で行う臨床試験には課題があり、欧米や南米などと比べると感染者の数が少なく、臨床試験に参加した人が感染する可能性が各国に比べると低いため、ワクチンの効果を確かめるのは難しいと指摘されています。

    また、今後海外メーカーのワクチンが国内で広く接種されるようになると、感染者の数がさらに少なくなったり、多くの人が免疫を持ついわゆる「集団免疫」の状態に近づいたりして、臨床試験で予防効果を確認する難しさが増すのではないかという指摘もあります。

    このため国内で医薬品の審査を行うPMDA=医薬品医療機器総合機構は、国内で少人数を対象に行う初期段階の臨床試験を終えたあとは、海外で大規模な臨床試験を行うことも選択肢の1つだとしています。

    (2020年12月28日時点)

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