「ジョンソン・エンド・ジョンソン」のワクチンとは?

アメリカの製薬大手、ジョンソン・エンド・ジョンソンが開発したワクチンは、ウイルスベクターワクチンというタイプです。

ウイルスの表面にある「スパイク」と呼ばれる突起部分のたんぱく質の設計図となる遺伝子を無害な別のウイルスに組み込み、そのウイルスごと投与します。

すると、無害なウイルスが人の細胞に感染して、新型コロナウイルスのものと同じスパイクたんぱく質が作られるようになり、それを受けて免疫の働きで抗体が作られる仕組みです。

アメリカでは2021年2月27日に緊急使用の許可が出されていて、マイナス20度で2年間、2度から8度で最大3か月間保管できる上、1回接種するだけでよいことから広く使われていて、18歳以上に対して筋肉注射で接種が行われています。

日本でも2021年5月24日、「ジョンソン・エンド・ジョンソン」のグループ企業、「ヤンセンファーマ」が厚生労働省に承認の申請を行いました。

「ジョンソン・エンド・ジョンソン」は日本政府とワクチンの供給に関する契約を結んでいませんが、承認が得られた場合、2022年初頭に日本に供給できる可能性があるとしています。

アメリカやブラジルなどで行われた、4万3783人が参加した臨床試験についてまとめた論文では、ワクチンを打っていた人の中で接種から14日目以降に新型コロナウイルスの中等症以上の症状が確認されたのは116人で、打っていなかった人では348人だったということで、中等症以上の症状を防ぐ効果は66.9%、軽症も含めて発症を防ぐ効果も66.9%だったということです。

また、重症を防ぐ効果は、接種から14日目以降で76.7%、28日目以降では85.4%だったとしています。

会社では、国内でも250人を対象にした臨床試験を行い、厚生労働省に対して国内のデータも合わせて承認申請の際に提出したということです。

主な副反応について、アメリカのCDC=疾病対策センターは注射部位の痛み、頭痛、けん怠感、筋肉痛、吐き気を挙げていて、ほとんどが接種から1日から2日のうちに起きる軽症から中等度の症状で、数日でおさまるとしています。

一方、CDCによりますと、ワクチンの接種後、まれに脳や腹部、脚の血管に血小板の減少を伴う血栓が起きたことが報告されています。

血栓が確認されたのは、ほとんどが18歳から49歳の女性で、この年代の女性では100万人あたりおよそ7人の割合だということです。

また、50歳以上の女性とすべての年代の男性ではさらに割合が低いとしています。

血栓症が報告されたことを受け、CDCなどは2021年4月13日、各州に対しこのワクチンの接種を一時停止するよう求めましたが、2021年4月23日に「ワクチンの接種による利益はリスクを上回る」として、医療機関などに血栓症の対処法などについて周知した上で接種の再開を認めると発表しました。

(2021年5月25日時点)