イギリスの製薬大手、アストラゼネカは、オックスフォード大学と共同でワクチンを開発し、2021年1月からイギリスなどで接種が始まりました。

アストラゼネカのウェブサイトによりますと、2021年4月15日の時点で緊急使用も含めて世界78の国と地域で承認されているということです。

日本国内でも2021年5月21日に厚生労働省が承認しました。

接種の対象は18歳以上で、日本政府は年内に6000万人分を供給する契約を結んでいて、厚生労働省が承認すれば国内の製造拠点から4500万人分以上が供給される見通しです。

ウイルスベクターワクチン

このワクチンはウイルスベクターワクチンという種類で、ウイルスの表面にあるスパイクと呼ばれる突起部分のたんぱく質を作る遺伝子を無害な別のウイルスに組み込み、そのウイルスごと投与します。

すると、人の細胞に無害なウイルスが感染して、新型コロナウイルスのものと同じスパイクたんぱく質が作られるようになり、それを受けて免疫の働きで抗体が作られます。

実際のウイルスは使っておらず、ワクチンを接種することで新型コロナウイルスに感染することはありません。

接種方法、回数

接種方法は筋肉注射で、1回目の接種のあと通常、4週間あけて2回目の接種を受けます。

保管方法

2度から8度の冷蔵庫で6か月間保管できますが、開封したあとは6時間以内に使う必要があります。

有効性は

イギリスやブラジルなどで行われた臨床試験の結果をまとめた論文によりますと、発症を防ぐ効果は
▼計画通りの量のワクチンを2回接種した人では62.1%だったのに対し、
▼1回目だけ半分の量にして2回ワクチンを接種した人では90.0%、平均で70.4%だとしています。

副反応は

ワクチンの添付文書によりますと2万4000人あまりを対象にした臨床試験の解析から主な副反応は
▼疲労が1回目の接種後は49.6%、2回目の接種後は26.8%、
▼頭痛が1回目の接種後は48.6%、2回目の接種後は26.7%、
▼筋肉痛が1回目の接種後は40.3%、2回目の接種後は18.9%、
▼38度以上の発熱が1回目の接種後は7.1%、2回目の接種後は1.2%などとなっています。

変異ウイルスに効くのか

アストラゼネカのワクチンについてオックスフォード大学などのグループが医学雑誌「ランセット」に発表した論文によりますと、イギリスで見つかった変異ウイルスに対するワクチンの有効性は70.4%だったとしています。

一方、南アフリカで見つかった変異ウイルスについては、南アフリカの大学などのグループが発表した論文によりますと、臨床試験では発症を防ぐ効果は10.4%で、効果は見られなかったとしています。

また、ブラジルで見つかった変異ウイルスについては、オックスフォード大学が2021年3月18日に抗体の働きを示す値は一定程度下がっているものの、効果はあるとするプレスリリースを出しています。

血栓との関係

このワクチンをめぐって2021年3月、EU=ヨーロッパ連合の医薬品規制当局などから接種後に血の塊、「血栓」などが確認されたケースが報告され、ドイツやフランスなどヨーロッパ各国で予防的な措置として一時、接種を見合わせるなどの動きが出ました。

2021年4月7日に公表されたEMA=ヨーロッパ医薬品庁の調査結果によりますと、接種後に血栓が起きたケースの多くは接種から2週間以内の60歳未満の女性で報告されているということです。

ワクチンの免疫反応が関係している可能性はあるものの極めてまれなため、新型コロナウイルスに感染するリスクを考えると接種する利益のほうが上回るとしています。

また、イギリスの規制当局は、2021年5月12日までにイギリス国内でこのワクチンを1回接種した人が2390万人、2回接種した人は900万人いてこのうち、血小板の減少を伴う血栓症になったのが309人、そして56人が死亡したと報告しています。

血栓が起きる頻度は接種100万回あたり、12点3回だとしています。

血栓は若い世代の方が頻度が高く、イギリス政府は2021年4月7日、30歳未満に対しては別のワクチンの接種を勧めると発表し、その後、2021年5月7日には予防的な措置として、対象を10歳引き上げて40歳未満には他社のワクチンの接種を勧めると発表しました。

WHO=世界保健機関は2021年4月16日の声明で、感染が続く国ではワクチンを接種するメリットはリスクをはるかに上回るとした上で、各国は感染状況やほかのワクチンを入手できるかといった事情を考慮して判断すべきだとしています。

(2021年5月21日時点)