2種目で金メダル獲得、それを約束する

佐藤友祈

パラ陸上

“東京パラリンピックで金メダルに最も近い男”
車いす陸上のエース、佐藤友祈は、そう呼ばれてきた。2016年、初めてのパラリンピックとなったリオデジャネイロで獲得したのは2つの銀メダル。その後、400mと1500mで相次いで世界記録を樹立、2019年の世界選手権でも2種目を制した。それでも勝利への飢えは、満たされることはなかった。

「国立競技場で世界記録を更新して2種目で金メダルを獲得するのが僕の夢。パラリンピックのタイトルを取ってはじめて、『僕が世界一だ』と名乗れると思っている」

佐藤にとって、パラリンピックは特別だ。病気で車いす生活となった2年後、2012年のロンドンパラリンピックの映像を見て人生の目標ができた。
「次のパラリンピックに出場する」
リオデジャネイロで、その目標は達成したが、金メダルには届かなかった。東京で金メダル。それが佐藤の中で、揺るぎない目標に。新型コロナウイルスで2020年の舞台が失われても、佐藤は動じなかった。

「たとえコロナが終息せず、さらに延期や中止になったとしても、次のパラリンピックで必ず目標を達成する」

そうと決めれば、もう何も怖くはない。佐藤は延期が決まった後も、トレーニングを継続した。緊急事態宣言で競技場が使えなくなれば、河川敷での走り込みやジムの消毒を徹底して筋力トレーニングに励んだ。

世界選手権以来、8か月ぶりに出場したレースでは、400mで自分が持つ世界記録に迫る好タイムをマーク。揺るぎない実力と高いモチベーションを維持していることを証明した。

「コロナ禍の中で目標を失わずに働いている人たちと同じ。僕も目標があるから頑張れる」

金メダルに最も近い男にとって、目標とは願望ではなく使命だ。だから、こう言ってはばからない。

「2種目で世界記録を更新して金メダル獲得。この目標を必ず達成する。それは約束する」

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