安心感を与えられる「10番」でありたい

堂安律

サッカー #自分を奮い立たせたいとき

サッカー日本代表の10番。
名波浩、中村俊輔、香川真司など、そうそうたるメンバーが背負ってきたエースナンバーだ。

6月15日のエルサルバドルとの強化試合で初めて、その10番を着けたのが堂安律。
堂安にとって日本代表の10番は、小さいころから憧れ続けてきた特別な番号だ。
強心臓で知られる堂安ですら、こう振り返る。

「今までとひと味違う代表戦だった。めちゃくちゃ緊張したし、不安にもなるし、自分でいいのかと思いながら強い自分を演じてピッチに立った」

この試合で日本は立ち上がりから相手を攻めたて、6対0で快勝した。
堂安も10番としての初ゴールも決めた。

「10番を着けるというのは日本代表として戦う以上、一番大きなプレッシャーを背負う。だめな時は、いろいろ言われるだろうし、批判は覚悟のうえで10番を背負っている。自分を大きく成長させてくれる番号になる」と前向きに捉える。

堂安が思い描く理想の10番とは。

「チームメートから認められる10番でいたい。アルゼンチン代表が試合に向かうときメッシ選手の背中を見たらみんなが頼もしいと感じると思う。『彼がいるから俺たちは大丈夫だ』と安心感を与えられる10番でありたい」

目を輝かせながらこう語った。
堂安が大切なことに改めて気づかされたと語るシーンがある。
去年、ワールドカップカタール大会のドイツ戦でマークした得点だ。
相手のゴールキーパーがはじいたところを押し込み「ちょこんと合わせるだけだった」と言うものの堂安自身、このゴールに大きな意味を感じ取っていた。

「挫折や苦しい期間もあった中、努力してきたから、あそこにボールが転がってきた。
努力を継続すれば自分で運を引き寄せることができる」

堂安は、ワールドカップでの得点も日本代表の10番を背負うことも夢だと公言してきた。逆境におかれ、批判にさらされても自分を信じ、たゆまぬ努力で実現させた。
そして日本代表の10番を背負う今、夢として口にするのは「ワールドカップの優勝」だ。

日本のワールドカップでの最高成績はベスト16。
去年のカタール大会も含めてこれまで4回、ベスト8の壁に阻まれてきた。
周りからは「現実味がない」と言われることもある。
しかし、それも関係ない。
逆境も、批判も、力に変えてきた日本の「新10番」は前だけを見据える。

「ワールドカップ優勝は皆さんに一度約束した夢なので絶対に成し遂げたい。人に笑われるくらいの夢を言い続けて、それを背負いきったやつが夢をかなえられるというのは自分が一番わかっている。ワールドカップ優勝を本気で追いかけている」

サッカー #自分を奮い立たせたいとき