9番を着てワールドカップに出たい
齋藤直人
ラグビーにおける背番号「9」。
それを背負うことは、攻撃の起点となるスクラムハーフとして先発出場することを意味する。
日本代表の齋藤直人は、その9番に対し、なみなみならぬ思いを持っている。
「テストマッチでは9番を着てプレーしたい」
「9番を着てワールドカップに出たい」
インタビューでは必ずといっていいほど9番に対する思いを口にする。

ラグビーの名門、早稲田大学を大学日本一に導くなどエリート街道を歩んできた齋藤。
社会人になって進んだのは強豪のサントリーだった。
同じポジションには2019年のワールドカップで活躍した5つ年上の流大がいた。
なぜ、あえてライバルのいるチームを選んだのか。

「チームを選ぶときはもちろん迷ったが、結局、日本代表でレギュラー争いをするときに、その中に大さんがいるんだったら、一番近くで練習した方がいいんじゃないかって」
険しい道を選んだ齋藤だったが、それは結果的に自身の成長につながった。
流の近くでプレーすることで抜群のリーダーシップと確かな技術を肌で感じることができた。

先発出場できる機会は限られていたが、与えられたプレー時間の中で結果を出そうと臨むうちに、持ち味の正確なパスに加え、ランやキックといったスキルが磨かれてゲームをコントロールする判断力も養われていったという。
迎えた2022年。
日本代表に選ばれた齋藤は6月と7月のテストマッチシリーズで大きな手応えをつかんだ。4試合のうち、強豪フランス戦など2試合に先発出場。

磨いてきたパスを駆使して起点となり、味方の攻撃のスピードをあげて代表での存在感を高めることに成功した。
本人も「この2試合で、だいぶ成長できたと思う」と収穫を口にした。
そして、今後の目標について問われると、いつものように言った。
「ワールドカップでは9番を着て出場するのが目標だ。そのためにも、これからが大事になってくる。自分に何が足りないか考えながらやっていきたい」

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