圧倒的な存在感を残せる選手になりたい

三笘薫

サッカー

サッカー日本代表の7大会連続となるワールドカップ出場をたぐり寄せたのは代表2試合目の三笘薫だった。
2022年3月に行われたアジア最終予選のオーストラリア戦に途中出場し、わずか10分で2得点。一躍、日本のヒーローになった。

「自分の人生の中でも大きな1点を決められた。自分のプレーを出せているということは成長できているのかなと思っている」

成長を実感できたのは、去年夏から移籍したベルギー1部リーグで経験を重ねたからだ。初の海外挑戦ながら持ち味の緩急をつけたドリブルを武器に1試合3得点のハットトリックを決めるなど、攻撃力を発揮して充実したシーズンを送っている。

しかし、デビューしたてのころ、苦い経験をしたと言う。
2021年年9月に行われたリーグ戦2試合目の出場だったワへレム戦のことだ。後半から途中出場した三笘は1点リードの場面でドリブルを仕掛けたが、センターサークル付近でボールを奪われた。

すると、そこから相手の鋭いカウンターを受け、15秒足らずのうちに失点し、同点ゴールを許してしまった。

「こんなにすぐにカウンターで失点してしまうんだと感じた。ボールをロストしてしまった選手の責任でチームの中での信頼もなくなりかけた。一瞬のプレーでも本当に気が抜けないと思った」

三笘が痛感した1つのプレーの「重み」。
それは練習のときからひしひしと感じている。選手の技術レベルは「(前所属の)フロンターレのときのほうが高い」と言うが、ポジションを勝ち取ろうという選手の必死さから来る、練習のプレー強度は大きく異なると言う。

「文句の言い合いになるときもあるし、激しくなったら削り合いにもなる。一つ一つのプレーで信頼も落としてしまったり逆に信頼を勝ち得ることができるので集中力はすごく求められる」

失敗を教訓とし、より高い集中力で臨むようになった三笘は首脳陣からの信頼を獲得。日本でプレーしていた最前列ではなく、1列下がった「ウイングバック」というポジションで出場機会を増やしてきた。

日本のときよりも相手を待ち受けて守る場面を多く経験したことで瞬発力が高まり、ドリブルにも進化をもたらしていると感じている。

「守備の対応で止まる動作が多くなったので使う筋肉の場所も違ったり、止まってから動くストップダッシュというのが増えている。(ドリブルで)1回で踏み出すときの力強さは自分の中で増しているなというのは感じている」

3月のオーストラリア戦で見せた2点目はまさに成長を実感している、「1歩目の力強さ」から生まれたものだった。

「自信を持って仕掛けられるようになっている。(ベルギーで)いろんな選手と対じしても自分の特徴が出せるなという自信から来ていると思う」

ワールドカップカタール大会へ。
持ち味のドリブルをさらに進化させ、憧れの舞台に挑もうとしている。

「すべてのレベルアップとフィジカルの能力を上げることは必要だと思う。どんな状況でも得点を決めきることだったり、アシストできる圧倒的な存在感を残せる選手になりたい」

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