何か新しいことを始めるために最初の1歩を踏み出すこと。挑戦するのをためらわないでほしい

エリン・ジャクソン

スピードスケート

黒人女性として初めて冬のオリンピックのスピードスケートで金メダルを獲得したエリン・ジャクソン。
北京オリンピックのスピードスケート、女子500メートルで、連覇を狙った小平奈緒や銀メダルとなった高木美帆を破り、歴史を動かした。

「今の気持ちをうまく表現できたらいいけど、本当に、本当に幸せ」

スピードスケートに本格的に挑戦してわずか5年の快挙だった。

車輪が一列に並んだインラインスケートのトップ選手だったジャクソンは、2017年にスピードスケートに転向。その翌年のピョンチャンオリンピックに出場し、一気にスターダムを駆け上った。
そして、2回目のオリンピックとなった北京大会では金メダル。
レース直後の会見で、自身が伝えたいことを語った。

「まずはトライしてみること。何か新しいことを始めるために最初の1歩を踏み出すこと。たとえ、それがうまくいかなくても、トライし続けること。最終的には自分のなりたい姿になれるはず。何か新しいことに挑戦するのをためらわないでほしい」

スピードスケートで黒人選手が活躍した例は、2006年のトリノ大会の男子1000メートルで黒人選手初の金メダルを獲得した、シャニー・デービス(アメリカ)など、まだまだ少ない。
こうした現状を受け止め、人種の多様性が増すことを願いながらオリンピックという場に臨んだジャクソン。見事にその躍動感ある滑りと金メダルという結果で、スピードスケートの新たな時代という「最初の1歩」を世界に示してみせた。

「金メダルは大きな意味を持っている。こういう形で結果に出て、本当に幸せ」

壁は、挑戦者によって破られる。

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