レギュラーは難しくても、名脇役、黒子に徹したいとやってきた

亀井善行

野球

本拠地最終戦となった東京ドームでの引退セレモニー。2021年シーズン限りで現役を引退する巨人の亀井善行はファンに語った。

「リーグ優勝、日本一、たくさんの経験をさせていただいた。けが、不振、地獄も味わった。すべて経験してきたつもり」

亀井は2009年の第2回WBCの日本代表として世界一。巨人ではリーグ優勝、日本一を何度も経験した。巨人での17年間について、亀井は「本当にとてつもない人たちばかりだった」と振り返る。毎年のように他球団からFA移籍で大物がやってきた。生え抜きのスター選手もいる。チームで不動のレギュラーにはなれなかったが、中堅の年齢にさしかかった時に1つの野球哲学を授かった。

「自分は2010年から不振で苦しんでけがもあった。『その時に野球は9人でやるものじゃない。控えも光るところがある。輝けるところがある。1軍のピースは必ずある』と教わった。自分もそういう風になりたい」

それはかつてピッチャー以外のポジションをこなし、巨人のコーチも務めた故木村拓也さんのことば。これをきっかけに亀井の心境が変化した。

「自分が生き残るためには、内野もどこでもこなさないといけない」

本職の外野以外に、必死になって内野守備の練習をした時期もあったという。

「レギュラーは難しくても、名脇役、黒子に徹したいという思いが強くなった。全てのポジションを守れるのも、スタメンも代打も守備固めも、また違った選手になれたらいいと思って、今までやってきた」

亀井は今シーズンの開幕戦で代打サヨナラホームランというプロ野球史上初の快挙を達成。強肩を生かした守備も健在で、打撃面の成績は物足りなかったものの、一定の存在感を発揮してきた。

「自分は坂本勇人みたいなスターにはなれなかったけど、違った視点というか、自分は本当に上から下まで貴重な経験をさせていただいた。子どもたちも『亀井はいい選手だった』と憧れてくれたらいいと思う」

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