
BMXの未来のために頑張る
東京オリンピック、自転車の新種目BMXフリースタイル男子に出場した中村輪夢。2019年のワールドカップで、日本選手初の年間王者に輝くなど中村無くしてこの種目は語れない。
「オリンピックで結果を出せば、いろいろな人に知ってもらえる。BMXの未来のために頑張る」
第一人者として強い思いで自国開催のオリンピックに臨んでいた。東京オリンピックの金メダル候補に挙げられていた中村選手だったが2020年9月、左足のかかとを骨折。リハビリののち、猛練習を経て臨んだ2021年6月の世界選手権は、トップに9ポイント近く離され7位に終わった。
オリンピックのメダルにはさらなる武器が不可欠だった。
これまでも1回のジャンプで最大で5つの技を織り交ぜる大技など、次々と新しい技を開発してきた中村が活路を見いだしたのは、さらなる新技だった。
『バックフリップ・バースピントゥー バーバックスピントゥー バースピン』
空中で宙返りしている間にハンドルを1回転させたあと、逆の方向に1回転。
さらにもう1回、回転させるという技だ。
「悔しくてめっちゃ練習した」と振り返る世界選手権からオリンピックまでの1か月余りで中村は、この技を身につけ、オリンピックに挑んた。

1日の決勝に全体の2位で進んだ中村選手。
実はスタート順を決める前日のランで新技を温存していた。
「ジャッジも初めて見た技の方が絶対、得点が上がると思う」
決勝でさらなる高得点を目指すという狙いは明確だった。2回のランのうち、高い方の得点で争う決勝、中村は9人中、8番目に登場した。

1回目、出だしは好調。高さのあるジャンプから次々に技を決めた。
しかし、中盤に着地で失敗し得点を伸ばせなかった。
「すべての技を決めれば、メダルに届く」
あとがない2回目。気持ちを切り替えて世界初の新技に挑戦した。
着地は完璧だった。しかし、ハンドルを回す回転が足りなかった。ミスが響き結果は5位、メダルには届かなかった。

試合後、中村選手は悔しさを隠さなかった。
「1回目で決まらずに余計にあせってしまった。新しい技は練習ではずっとできていたので決めたかった。準備してきたことがあまり出せなかったことが一番、悔しい」
ただ、フリースタイルが初めて行われたオリンピックに中村選手は手応えも感じていた。
「この機会にいろいろな人に知ってもらえたと思う。オリンピック以外にもたくさん大会があるのでBMXに注目してもらえたら」
「BMXの未来のために」
19歳はさらに前を向き、次のオリンピックでの活躍を誓う。
