楽しんでもらうには、自分が楽しんでやらないと

渋野日向子

ゴルフ

2019年8月5日。20歳の快挙が世界を駆け巡った。
「スマイリング・シンデレラが、海外での初めての試合でメジャー大会を制し、おとぎ話を完結させた」(フランスAFP通信)
全英女子オープン優勝。日本選手として42年ぶりの海外メジャー大会制覇だった。

幼いころは喜怒哀楽が激しく、思うようなプレーができないと泣いたりふてくされたりしていたという渋野日向子。そんな彼女にとって「笑顔」は、気持ちを切り替えるためのスイッチなのだろう。

首位に並んで迎えた全英女子オープン最終日、18番のグリーンに向かって歩くときも渋野は笑顔を見せていた。そこで待っていたのは、決めれば優勝が決まるバーディーパット。
その瞬間、渋野の表情からスマイルが消えた。

「ここで決めるか、スリーパット打つかと思って、強気で打った」

ボールはカップに吸い込まれた。そしてその瞬間、渋野の“真顔”が“笑顔”に変わった。

「世界でも笑顔は共通だと思った。
笑顔でやっていたり、努力をしていれば結果につながるんだと思った」

帰国後の記者会見でこう振り返った渋野。
さらにプレーに集中する方法について質問されると-

「顔は、笑わなければ真剣な表情に見えるので、顔だけ変えている。
あまり気持ちを入れるとミスショットになってしまうので、顔だけ真剣な表情にしている」

“顔だけ真剣”ということは、心の中では…

「ゴルフは、ギャラリーがいて見せる競技なので、楽しんでもらうには、自分が楽しんでやらないと、みんなが楽しくない」

スマイリング・シンデレラの強さの秘密だった。

ゴルフ