アスリート×ことば

あとどれだけ日本サッカーを押し上げられるかが一番のモチベーション

あとどれだけ日本サッカーを押し上げられるかが一番のモチベーション

吉田麻也 サッカー

東京オリンピックのサッカー日本代表にピッチ内外で絶大な存在感を発揮する大黒柱が加わった。日本代表の不動のキャプテン、吉田麻也だ。
原則23歳以下の年齢制限があるオリンピックのサッカー男子(東京大会は1年延期の特例で24歳以下)。3人まで認められるオーバーエイジ枠として吉田の代表入りが決まった。

10歳ほど年の離れた選手たちと一緒にトレーニングに励む32歳。「もう“お兄ちゃん”でもない歳ですからね。確実に“おじさん”ですよ」と自虐的に笑うが、持ち前のコミュニケーション能力で年齢差を感じさせない。
東京オリンピックで求められるみずからの役割とは-。

「本気でメダルを獲りに行く役割。そうでなかったらオリンピックにオーバーエイジを呼ぶ意味がない。もう勝つことだけ。勝たないと評価されないと思ってるんで」

吉田は年齢制限のあるオリンピックは「自分の中で終わったもの」と考えていたという。自分が出場することで、若い選手から成長の機会を奪うのではないかという迷いもあった。
背中を押したのは、年齢を重ねるにつれて強まる日本代表への思いだった。

「自分のキャリアのモチベーションって何だろうって考えたときにやっぱり日本代表だなと。思っていた以上に自分の中のプライオリティーが高いと感じた。それはコロナでサッカーができなくなった時にとても実感したことで。ことし33歳なので、(現役でやれる)時間が限られている事は理解しているし、あとどれだけ日本代表、日本サッカーを押し上げられるかが一番のモチベーションになっている。だからこそ、オーバーエイジで若い選手の枠を奪うという罪悪感はありつつも、プロとして生き残っていくには、そういう競争は常にあるだろうと、割り切ってる自分もいて。それで、出ようと思った」

吉田は19歳で北京大会に出場。オーバーエイジ枠として出場したロンドン大会はベスト4に進出した。そして3回目のオリンピックとなる東京大会。
自国開催で結果を残すために吉田にかかるプレッシャーは限りなく大きい。もちろんそれは十分すぎるほど理解したうえで引き受けた。
東京オリンピックが日本サッカーの分岐点になりうると信じているからだ。

「もっと日本代表の競争が激しくならないといけない。その突き上げをするのは間違いなく東京オリンピック世代だと思う。彼らがこの大会で経験を積めば、ステップアップのきっかけになるかもしれないし、そうなることが日本サッカーのレベルアップにつながる」

オリンピックで1968年のメキシコ大会の銅メダル以来、53年ぶりとなるメダル獲得。さらにその上の景色を見るために。
みずからが理想とするキャプテン像でチームを押し上げる決意だ。

「しんどいときにチームやほかの選手をいい方向に導くことができるかどうかが、本当のリーダーのポテンシャルだと思う。プレーでもって背中で示すことももちろん意識しつつもっと“ど直球”で、声をかけたり行動をしたりすることも大事。“静”を備えている“動”のキャプテンが一番いいんじゃないかなと思う。とにかくチームがすべてを出し切ること。出しきった先に何があるか分からないけど、全力で日本のために戦うことだけは約束できるので、それをぜひ見ていただけたらと思う。最後に笑って、もう全部出し切ったと思える大会にしたい」