ゲームに飲み込まれないように楽しんでゴルフを

笹生優花

ゴルフ

女子ゴルフの世界最高峰、全米女子オープンを史上最年少の19歳で制した笹生優花。
畑岡奈紗とのプレーオフを制しての歴史的な快挙だった。
プロを目指したのは8歳のとき。世界で活躍する宮里藍さんらに憧れたことがきっかけだった。

「ただ楽しんでゴルフしたいみたいな感じで、プロになりたいというのが自分の頭にあった」

父の正和さんは当初、真に受けなかったという。小学2年生の夏休み、フィリピン出身の母の母国で練習に連れて行った。笹生はそこで40日間、練習に打ち込んだ。飽きることなく、正和さんが帰ろうと言うまで黙々と練習を続けたという。

これをきっかけに、2人でフィリピンに移住し、親子でプロを目指す日々が始まった。
足腰や背筋を鍛えるために両足首に重りをつけて行う反復横跳びや野球のノック、そしてスクワット。
特訓は厳しかった。「子どものころのトレーニングは嫌でしたよ」と 笹生は冗談めかして笑うが、その真意は別にある。

「あのトレーニングをやっていたからこそ、今があるんだと思っています」

憧れは男子プロで世界トップクラスの飛距離を誇るイギリスのローリー・マキロイだ。彼の動画を見てまねをして築きあげたという笹生のスイングは、マキロイにそっくりだ。

その力強さは海外メジャーの深いラフをものともしない。
全米女子オープンのプレーオフ3ホール目。笹生は、ラフからの第2打をピンそばに寄せて勝負を決めた。
8歳からプロを目指してぶれずに進む笹生は、理由をシンプルに「ゴルフが楽しいから」だという。
そして練習中はずっと笑顔だ。その思いを大事にしている。

「ゴルフはやればやるほど難しくなって、楽しむというよりもゲームに飲み込まれちゃうから。そうじゃなくて好きでやっているから楽しんでゴルフをやりたい」

海外メジャー制覇という夢をかなえた笹生は、将来、主戦場にしたいと考えていたアメリカツアーのシード権も手にした。
かねて「自分からここを見てほしいではなく、ファンの方にここを見たいと思われるような選手になりたい」と話していた笹生。
憧れのマキロイは、全米女子オープンの優勝後、ツイッターでこうメッセージを送った。
「これで誰もが優花のスイングを動画で見るようになる」
快挙を成し遂げた19歳は、世界の舞台でも“楽しみながら”次々と夢をかなえていく。

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