
9秒8は全然出る
2019年6月7日、アメリカ・テキサス州で行われた全米大学選手権の男子100メートル決勝。
サニブラウン アブデル・ハキームが、9秒97の日本新記録をマークした。
「ハイレベルの中でいい走りができたし、課題も見つけられた。
アメリカに来てよかったし、ハイレベルのレースがすごく楽しい」
“世界一”を夢見て、2017年にアメリカの大学に進学したサニブラウン。
最初のシーズンはケガもあってリハビリに費やすしかなかった。
それでもみずからの可能性を信じて力を磨き続け、日本最速の男に上り詰めたのだった。
同じ月に行われた日本選手権100メートル決勝。
サニブラウンは、スタートでやや出遅れたものの、中盤から爆発的に加速。
日本のライバルたちに強さを見せつけ、大会新記録となる10秒02で優勝。
その後の200メートルも制し、2冠を達成した。
レース後、今の力でどこまで記録を伸ばせるかという質問に、サニブラウンはさらりと言ってのけた。
「しっかりやることをやれば、9秒8は全然出ると思っている」
そして大勢の観客に誓った。
「また強くなって日本に帰ってきたい」