【第6戦】山本由伸 日本シリーズ記録14奪三振 3勝3敗で第7戦へ

プロ野球の日本シリーズの第6戦が4日、京セラドーム大阪で行われ、オリックスがエース・山本由伸投手のシリーズ記録を更新する14奪三振の力投で阪神に5対1で勝ちました。これで対戦成績は3勝3敗となり日本一の行方は5日の第7戦に持ち越されました。

また第7戦の両チームの予告先発はオリックスは宮城大弥投手、阪神は青柳晃洋投手と発表されました。

第6戦の試合経過はページの後半でイニングごとにまとめています。

《京セラドーム大阪 試合終了 入場者3万3633人》
投手
オリックス:山本由伸(9回138球失点1)
阪神:村上頌樹(5回82球失点4)-西勇輝(3回52球失点1)

59年ぶりに関西のチームどうしの対戦となったことしの日本シリーズは、阪神が甲子園球場で行われた第4戦と第5戦で劇的な勝利をあげて対戦成績を3勝2敗とし、日本一に王手をかけて4日夜、京セラドーム大阪で第6戦が行われました。

オリックスは1点を追う2回、第1戦で7回を0点に抑えられた阪神先発の村上頌樹投手から1アウト二塁三塁のチャンスを作り、9番の若月健矢選手のタイムリーヒットで同点としたあと、1番中川圭太選手の犠牲フライで1点を勝ち越しました。

5回はこの試合の前までの日本シリーズでの打率が4割と好調で、クライマックスシリーズ以降初めて中軸に入った3番 紅林弘太郎選手がツーランホームランを打ち、8回には5番の頓宮裕真選手にもこのシリーズ2本目となるソロホームランが出てリードを広げました。

投げてはこのシリーズ2回目の先発となった山本由伸投手が2回に先制のソロホームランを許しながらも、いずれも最速で158キロのストレートと150キロのフォークボールをコントロールよく投げ込み、9回138球を投げ切って日本シリーズ記録を更新する14個の三振を奪い1失点に抑える力投を見せました。

オリックスはエースの力投に打線が応えて5対1で勝ち、対戦成績を3勝3敗としました。

山本投手は第1戦で6回途中7失点で負け投手になり、おととし、去年と合わせてこれまで日本シリーズで4試合に先発して勝ちがありませんでしたが、あとがない一戦で見事に日本シリーズ初勝利をあげました。この結果、両チームが日本一に王手をかける形になり日本一の行方は5日の第7戦に持ち越されることになりました。

阪神は2回に5番ノイジー選手のソロホームランで先制し、合わせて9本のヒットを打つなどその後もチャンスを作りましたが山本投手を打ち崩せませんでした。

日本シリーズの第7戦は5日も午後6時半から京セラドーム大阪で行われ、阪神が勝てば38年ぶり2回目、オリックスが勝てば2年連続の日本一が決まります。

《第7戦の予告先発》オリックス 宮城大弥 阪神 青柳晃洋

日本シリーズ第7戦の予告先発です。オリックスは今シーズン3年連続のふた桁勝利となる10勝をあげた宮城大弥投手が先発します。先月28日の第2戦では6回をヒット4本で無失点に抑える好投でした。阪神は8年目の青柳晃洋投手が先発します。おととし、去年と13勝をあげて2年連続最多勝に輝きましたが今シーズンは8勝にとどまりました。ここまでクライマックスシリーズと日本シリーズでの登板はなく、公式戦のマウンドは9月29日のDeNA戦以来となります。

=両チーム 選手・監督 談話=

《オリックス》

山本由伸「調子は良かったので落ち着いて投げられた」

日本シリーズ新記録となる14個の三振を奪ってチームを勝利に導いた山本由伸投手は試合後のインタビューで「会場の声援に背中を押されて投げきることができた。先制点を与えてしまったが調子はよかったので落ち着いて投げることができた。あすの試合にしっかり勝って中嶋監督を日本一の監督にしたい」と話していました。

【9回に2奪三振で14個のシリーズ新記録】
山本投手は最速で158キロのストレートと150キロに達するフォークボールを中心とした力強いピッチングで8回までに12個の三振を奪いました。そして、9回は先頭の7番糸原健斗選手から157キロのストレートで空振り三振を奪い、さらに1アウト一塁となったあと代打の渡邉諒選手から鋭く落ちるフォークボールで14個目の三振を奪い、日本シリーズでの1試合での最多記録を更新しました。これまでの記録は1999年にソフトバンクの前身、ダイエーの工藤公康投手と2007年に日本ハムのダルビッシュ有投手がマークした13奪三振でした。また1975年には広島の外木場義郎投手が延長13回を投げ13個の三振を奪っています。

2回に同点打 若月健矢「早く追いつきたいという思いで」

若月健矢選手は「負けられない試合で早く追いつきたいという思いで打った。泣いても笑ってもあと1試合なので勝利したい」と話していました。

今シリーズ2本目となるソロ 頓宮裕真「絶対打とうと思っていた」

また、8回にこのシリーズ2本目となるソロホームランを打った頓宮裕真選手は「山本投手がテンポよく抑えてくれていたのでなんとか塁に出ようと思っていて、それがいい結果になってよかった。うちのエースが投げる負けてはならない試合だったので、絶対打とうと思っていた。あと1試合で、あすも4打席か5打席しかないと思うので悔いがないように、最後まで明るく楽しくやりたい」と話していました。

5回に2ランHR 紅林弘太郎“すごくいい感触で捉えられた”

紅林弘太郎選手は「求められたところで求められた仕事をしようと思っていた。後ろにすごいバッターが控えていたので打線をつなげる意識で打席に入ったがすごくいい感触でボールを捉えられた」と話していました。またクライマックスシリーズ以降初めて中軸に入ったことについて「上位で打ちたいとずっと思っていたので『やっと』という思いだった。打順で変わることは特にないので3番というのは気にせずいけた」と振り返りました。その上で、阪神先発の村上頌樹投手に対しては2軍の試合を含めてヒットを打ったことがなかったということで「何か変えないといけないと思っていた。コントロールがすごくいいので高く甘いところを狙っていた。これまではいろいろと追いかけてしまっていたので狙い球をしぼって、追い込まれるまではそれを待っていた」とこれまでの経験を踏まえて対策を立てて臨んだことを明かしていました。

天井直撃の二塁打 杉本裕太郎“打球解析ではホームランの数値”

杉本裕太郎選手は左足首の痛みから復帰後2試合目となった第6戦の第1打席で、京セラドーム大阪の天井部分を直撃するツーベースヒットを打ちました。杉本選手は「ホームランだと思ったが、ツーベースになって少し残念だった。ただ打球解析の人に聞いたら120メートル飛んでいて打球速度も出ていて、ホームランの数値ということだった。結果的にそのあと2点入ったので、『まあいいや』と思った」と振り返りました。そして「ピッチャーの球を久しぶりに見て感覚がよくなってきている。全員で勝てるように頑張りたい」とあすの大一番に向けて意気込んでいました。

中嶋聡監督「この試合全部、由伸にかけました」

中嶋聡監督は試合後のインタビューで「完全に追い込まれていたのできょう勝ってなんとかタイにできてよかった」と振り返りました。9回138球を投げて1失点完投のピッチングをみせた先発の山本投手については「前の登板で阪神打線にやられたが、山本由伸が2回連続やられるわけがないと思って、信頼して送り出した。球数はいっていたが、この試合全部、由伸にかけました」と話しました。そして第7戦に向けて「ここまでいいゲームができている。あす決戦となるので、みなさん大きい声で声をからしてのどあめを持ってしっかり応援してください」とファンに呼びかけていました。

《阪神》

5回4失点 村上頌樹「打たれるべくして打たれた」

「しっかり投げきれなかった」試合後、こう振り返った先発の村上頌樹投手。大きな持ち味のコントロールに精彩を欠き、オリックス打線に5回で4点を奪われました。今シーズン最優秀防御率のタイトルを獲得した村上投手のピッチングは、力強いストレートをコーナーに投げわけることが出来るコントロールに支えられていましたが、第6戦は序盤から影を潜めました。2回、ノーアウト一塁から7番 杉本裕太郎選手にはストレートが浮いてツーベースヒット。その後、同点タイムリーと勝ち越しの犠牲フライを許しました。1点をリードされた5回には、紅林弘太郎選手に変化球が真ん中に入りツーランホームランを打たれ突き放されました。5回を投げて2つのフォアボールとデッドボール1つ、正確無比なコントロールがレギュラーシーズンではほとんど見られないほど乱れていました。試合後「ホームランは真ん中に入ったので打たれるべくして打たれた。この結果は、しっかり投げきれなかったのが原因だと思う。それだけ」とコントロールが定まらなかった理由を探しているようでした。

阪神 岡田監督「継投がもう1イニング早かったらと思う」

敗れた阪神の岡田監督は5回を投げて4失点だった先発の村上頌樹投手について「きょうはコントロールが悪かった。ブルペンではよかったと言ってたんだけど」と振り返りました。また「継投がもう1イニング早かったらと思うよ」と紅林弘太郎選手にツーランホームランを打たれた場面を悔やんでいました。第7戦の先発を託す青柳晃洋投手については「投げる以上は全力で抑えにいくだけやんか。よかったやん、投げられて」と話していました。

=試合経過=

18:00ごろ

《先発メンバー》阪神 DHは糸原 オリックスは3番に紅林 

◆先攻:阪神
1.(中)近本   .474 0本 4打点
2.(二)中野   .353 0本 3打点
3.(右)森下   .238 0本 5打点
4.(一)大山   .200 0本 3打点
5.(左)ノイジー .211 0本 0打点
6.(三)佐藤輝  .158 0本 1打点
7.(指)糸原   .400 0本 0打点
8.(遊)木浪   .412 0本 1打点
9.(捕)坂本   .235 0本 4打点
(投)村上頌樹 防御率0.00
◇後攻:オリックス
1.(中)中川圭  .222 0本 1打点
2.(三)宗    .200 0本 4打点
3.(遊)紅林   .400 0本 1打点
4.(右)森    .273 0本 0打点
5.(一)頓宮   .294 1本 1打点
6.(二)ゴンザレス.333 1本 4打点
7.(左)杉本   .000 0本 0打点
8.(指)セデーニョ.333 0本 0打点
9.(捕)若月   .100 0本 1打点
(投)山本由伸 防御率11.12
※成績はことしの日本シリーズのデータ。

◆1回表 阪神は三者凡退 山本は上々の立ち上がり

阪神は、三者凡退に終わりました。オリックスの先発の山本は、力強いストレートに変化球を効果的に織り交ぜ上々の立ち上がりを見せました。
1.近本 レフトフライ
2.中野 センターフライ
3.森下 空振り三振(1個目)

◇1回ウラ オリックス 一・三塁のチャンスも好守に阻まれ無得点

オリックスは、先頭の中川圭太のヒットをきっかけにツーアウト一塁三塁のチャンスをつくりました。このチャンスに、5番頓宮がショートの左へライナー性の強い当たりを打ちましたが、阪神の木浪の好プレーに阻まれ無得点でした。
1.中川圭 レフト前ヒット
2.宗 送りバント
3.紅林 フォアボール
4.森 センターフライ
5.頓宮 ショートライナー

◆2回表 阪神 ノイジーのソロホームランで先制 オ 0-1 神

阪神は、5番ノイジーが初球の高めのストレートを捉えこのシリーズ、チーム初となるホームランで先制しました。このあともオリックスの山本を攻め2アウト満塁のチャンスを作りましたが、追加点はなりませんでした。
4.大山 ライトフライ
5.ノイジー ライトへソロホームラン
談話「打ったのはツーシームかな。しっかり振り切ることができたし、最高の結果になってくれてうれしいよ。大事な一戦で先に得点が欲しいと思っていたし、チームに貢献することができてうれしいね。次の打席も打てるように頑張るよ」

6.佐藤輝 右中間ツーベースヒット
7.糸原 センター前ヒット
8.木浪 見逃し三振(2個目)
9.坂本 デッドボール
1.近本 空振り三振(3個目)

◇2回ウラ オリックスが適時打と犠飛で逆転 オ 2-1 神

オリックスは、7番杉本の天井に入るエンタイトルツーベースなどでワンアウト二塁三塁とチャンスをつくり、9番若月のタイムリーヒットと続く1番中川圭太の犠牲フライで2点を奪って逆転しました。
6.ゴンザレス センター前ヒット
7.杉本 ツーベースヒット
8.セデーニョ 見逃し三振
9.若月 ライト前タイムリーヒット
談話「打ったのは真っすぐです。なんとか早い段階で追い付くことができてよかったですし、このあとも頑張ります!」
(オリックス1-1阪神)
1.中川圭 レフトへの犠牲フライ
(オリックス2-1阪神)

2.宗 センターフライ

◆3回表 阪神 先頭出塁も無得点 オ 2-1 神

阪神は、この回先頭の中野がヒットで出塁しましたが、後続がオリックスの先発、山本の緩急をつけた投球に抑えられ得点はなりませんでした。
2.中野 センター前ヒット
3.森下 空振り三振(4個目)
4.大山 見逃し三振(5個目)
5.ノイジー ショートゴロ

◇3回ウラ オリックス 先頭出塁も3人で攻撃終了 オ 2-1 神

オリックスは3番紅林がフォアボールを選び3イニング連続で先頭バッターが出塁しましたが、4番森がダブルプレーに打ち取られるなど、無得点でした。
3.紅林 フォアボール
4.森 ショートゴロダブルプレー
5.頓宮 空振り三振

◆4回表 阪神 得点圏まで走者進むも後続続かず オ 2-1 神

阪神は、木浪の打席でヒットエンドランが決まり、1アウト一塁三塁のチャンスを作りましたが、あとが続かず得点は奪えませんでした。
6.佐藤輝 ファーストライナー
7.糸原 セカンド内野安打
8.木浪 レフト前ヒット
9.坂本 空振り三振(6個目)
1.近本 ライトフライ

近本のライトフライは森友哉が好捕

◇4回ウラ オリックス無得点 杉本は出塁後福田が代走 オ 2-1 神

オリックスは4イニング連続でランナーを出しましたが、後続が阪神の村上に抑えられ得点はなりませんでした。
6.ゴンザレス サードファウルフライ
7.杉本 デッドボール
→代走 福田周平
8.セデーニョ 空振り三振
9.若月 セカンドフライ

◆5回表 阪神は三者凡退 山本は8個目の奪三振 オ 2-1 神

阪神は、この回三者凡退でした。オリックスの先発山本は、この回まで78球を投げ8つの三振を奪いました。
2.中野 見逃し三振(7個目)
3.森下 空振り三振(8個目)
4.大山 ファーストファウルフライ

◇5回ウラ オリックスは紅林のツーランでリード拡大 オ 4-1 神

オリックスは3番紅林が1アウト二塁のチャンスで左中間へのツーランホームランを打ち2点を追加しました。
1.中川圭 センター前ヒット
2.宗 送りバント
3.紅林 左中間へのツーランホームラン
談話「なんとか後ろにつないでいこうと思って打席に入っていました。いい結果につながってよかったです」

4.森 ライトフライ
5.頓宮 セカンドフライ

◆6回表 阪神はこの回も三者凡退 オ 4-1 神

阪神は、前の回に続いて三者凡退に終わりました。
5.ノイジー ショートゴロ
6.佐藤輝 レフトフライ
7.糸原 ショートゴロ

◇6回ウラ オリックスは2人目の西勇輝から得点奪えず オ 4-1 神

オリックスは途中出場の福田のツーベースヒットで1アウト二塁のチャンスをつくりましたが、この回から2人目で登板した阪神の西勇輝から得点を奪えませんでした。
阪神 投手交代 村上→西勇輝
6.ゴンザレス ファーストゴロ
7.福田 ライト線ツーベースヒット
8.セデーニョ 空振り三振
9.若月 キャッチャーゴロ

◆7回表 阪神は連続ヒットでチャンスも抑えられる オ 4-1 神

阪神は2アウトから1番近本、2番中野が連続ヒットを打ちましたが、3番森下が打ち取られました。オリックスの先発の山本は、この回を終えて109球を投げ10個目の三振を奪いました。
8.木浪 空振り三振(9個目)
9.坂本 空振り三振(10個目)
1.近本 ライト前ヒット
2.中野 サード内野安打
3.森下 セカンドフライ

◇7回ウラ オリックスは無得点 オ 4-1 神

オリックスは、2アウトからフォアボールでランナーを出しましたが、あとが続きませんでした。
1.中川圭 ショートライナー
2.宗ピッチャーゴロ
3.紅林フォアボール
4.森レフトフライ

◆8回表 阪神は無得点 山本の奪三振は12に オ 4-1 神

阪神は、この試合4回目となる三者凡退に終わりました。オリックスの先発 山本は8回もマウンドに上がりこの回まで126球を投げ、奪った三振の数を12に伸ばしました。佐藤輝明から三振を奪ったストレートは153キロでした。
4.大山 空振り三振(11個目)
5.ノイジー ショートゴロ
6.佐藤輝 空振り三振(12個目)

◇8回ウラ オリックス 頓宮のソロで追加点 オ 5-1 神

オリックスは、この回先頭の5番頓宮のソロホームランで1点を追加しました。
5.頓宮 レフトへのソロホームラン

6.ゴンザレス 空振り三振
7.福田 ライトフライ
8.セデーニョ
→(代打)T-岡田 レフトフライ

◆9回表 試合終了 山本は日本シリーズ新記録の14奪三振

9回もマウンドに上がったオリックスの先発 山本は138球を投げて完投。日本シリーズ新記録となる14個の三振を奪いました。
7.糸原 空振り三振(13個目)
8.木浪 ライト前ヒット
9.坂本
→(代打)渡邉諒 見逃し三振(14個目)
1.近本 セカンドゴロ

《第1戦~第5戦の結果は》