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海洋環境が大きな課題を抱えています。海水温が上昇したり、環境の変化によって海藻が育ちにくくなる「磯焼け」が起きたりして、生きもののすみかになるサンゴが減少するなどしています。いま独自の技術で海の豊かさを取り戻そうとするビジネスが動き出しています。
海藻をよみがえらせた町工場の技術
長崎県壱岐市の海。かつては海藻で覆われていましたが、今は「磯焼け」しています。
その海に再び海藻がよみがえりました。再生のもととなったのは…
このコンクリートの塊は、長崎市内の町工場で製造しています。このメーカーはもともと船の部品を製造していましたが、6年前から環境再生事業に乗り出しました。
コンクリートで海藻をよみがえらせる秘密は、混ぜ合わせる液体「フルボ酸鉄」にあります。
フルボ酸鉄は、落ち葉などから分解されてできる「フルボ酸」が、地中の「鉄」と結びついてできる物質です。川に溶け込んで海に流れ出て、海藻の栄養になっていると言われています。
このメーカーは、工場で人工的に「フルボ酸」と「鉄」とを結びつけることに成功し、大量生産を実現しました。
自治体や漁協と協力し実証実験を重ねて効果を確認。現在8か所で導入されています。
環境再生事業に取り組むメーカー 池田 修 社長
「(フルボ酸鉄が)川から流れてきた状態が再現できる。いい結果が出ている。藻が生えている。期待したい」
AI・IoTでサンゴに最適な環境を
東京都内のスタートアップ企業は、海の環境を精密に再現することでサンゴの再生につなげようとしています。社内に置かれた水槽では、「AI」と「IoT」の技術でサンゴに異常がないか24時間監視しています。
サンゴの生育に最もよい環境をつくるため、水温だけでなくアルカリ度やカルシウム、マグネシウムなどの成分をコントロールしています。サンゴにとって最適な環境を人工的につくっているのです。
そして、大きな成果が。通常、年に1回、夏に産卵するサンゴを、このシステムで冬に産卵させることに成功したのです。
この技術には大手企業も注目しています。大手鉄鋼メーカーは、鉄をつくる時にできる「鉄鋼スラグ」がサンゴの着生に効果があることを、このシステムを使って実証しました。実際に海に設置してサンゴの再生につなげたいと考えています。
大手鉄鋼メーカー 宮田康人さん
「『こういう使い方があるんだね』と分かっていただいて、PR効果は高いと考えている」
海の環境を再現しているスタートアップ 髙倉葉太CEO
「経済と豊かな自然が両立しているようなモデルケースを日本から世界に発信していきたい」
ビジネスも持続可能であることが求められていて、企業にとって製品や取り組みが環境保全につながっていると示すことはとても重要になっています。
海洋資源など自然環境を維持しながらビジネスを成長させていく取り組みが、さらに進むことが期待されます。
【2024年4月8日放送】
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