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人口減少などで地方の鉄道会社が厳しい経営を強いられています。島根県松江市と出雲市を結び、県を代表する観光地・出雲大社へのアクセスもよい老舗ローカル鉄道「一畑電車」は、生き残りをかけて社員のアイデアをサービスに生かしています。
利用客5分の1に
一畑電車は1914年(大正3年)に運行が開始され、1960年代のピーク時には年間600万人以上が利用していました。
しかし過疎化などで利用客が徐々に減少し、ピークの5分の1ほどに落ち込んでいます。
一畑電車 谷口学 専務
「沿線人口が非常に減っていて、その中でも少子化がかなり進んでいて、通学定期が伸びてこないと通勤定期も伸びてこない。どこに活路を見いだすか」
利便性向上へ 発車時刻をパターン化
2024年4月に踏み切ったのがダイヤの改正です。日中・毎時間の発車時刻をパターン化することで、分かりやすさと利便性の向上を図りました。
野津昌巳 営業部長
「出雲大社前駅(出発)は10時20分、11時20分、12時20分と毎時20分発の時刻を打たせていただいて“パターン化”を施した。(これまでは)『時刻表どうぞお持ちください』という案内になってしまっていたが、(時刻表の)紙じゃなくても記憶に残るようなご案内ができるんじゃないか」
電車好きにはたまらない?「カプセルトイきっぷ」
会社では運転士や整備士、売店の店員までが参加する会議を定期的に開き、さまざまなアイデアを形にしてきました。
例えば、出雲大社の最寄り駅で1月から始めたのが…
手にした男の子は「初めてみたのでちょっと興奮した」と話しました。
この駅は、築90年を超えるレトロな駅舎もSNS映えするとして観光客に人気です。
「おでん電車」も実現
そして最近、社員によるアイデアが新たに実現しました。地元で人気のおでんを車内で食べる「おでん電車」という企画です。
社員たちが行った試運転では…
社員の一人
「いろんな課題は出てくると思うので、みんなと一つ一つ取り組んでいきたい」
谷口専務
「いろんな知恵を出し合ってお客さんに乗ってもらおうよと。地元に支えられている鉄道会社ではあるけれど、観光客の方にも利用していただけるようなものを今後考えていきたい」
このおでん電車は、熱い汁が乗客にかからないように安全面に配慮して、スピードを落として運行しているそうです。
地方の鉄道会社は、直面する厳しい状況にどう向き合うのか、知恵と工夫が求められています。
(松江局 堀場貴登)
【2024年4月2日放送】
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