中国では不動産不況などで景気の先行きに不透明感が広がっています。特に若者の間では、工夫しながらぜいたくをやめて消費の水準を落とす「消費降級」と呼ばれるライフスタイルが広がりを見せています。
中古品が人気 売り上げ2倍の店も
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北京にある中古品の販売店。いま中国の若者たちの間で人気になっていて、多くの人たちが訪れています。
扱っている商品を見ると…
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このほか書籍などさまざまな商品が、元の値段の2割~3割ほどで売り出されています。売り上げは開店当初に比べ約2倍に増えました。
この店を訪れた女性客は次のように話しました。
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また別の女性客は「以前はもっと衝動的に消費していたが、今は価値があるものなのか、もっと手ごろな価格のものに置き換えられないのか、調べるようになった」と話していました。
中古品の販売店の店長
「中古品を扱う店はますます受け入れられるようになっていると思う」
若者の失業率悪化 強まる節約志向
背景には、不動産市場の低迷などを受けた景気の先行きへの不安感があります。2024年2月の若者(16~24歳)の失業率(都市部)は15.3%と悪化し(前月比は0.7ポイント上昇)、節約志向が強まっているのです。
節約術を指南する動画も登場
インターネット上でも変化が起きています。中古品を売買できるアプリでは、ブランド品の衣服や家具などさまざまな商品が取り引きされています。
こうしたアプリを利用している人は1年で20%以上増加したといいます。
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さらに、日常生活での節約を指南する動画も登場しました。
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中には、節約のために、買い物に行く前に食事をすることをすすめている動画もあります。「スーパーに行く前におなかいっぱい食べれば、どんなおいしいものでも私の目には魅力的に映らない」というのです。
専門家「中国経済に下押し圧力」
専門家は、こうした消費動向は経済に長期的な影響を及ぼしかねないと指摘します。
中国経済が専門 対外経済貿易大学 西村友作 教授
「若者世代の消費の低迷は中国経済に下押し圧力となる。仮に『消費降級』という動きが住宅消費にまで影響し始めると、将来的には不動産市場のさらなる低迷を招く可能性も否定できない」
中国の人の消費動向といえば、日本では“爆買い”のイメージも残っているかもしれません。中国では北京五輪の前年の2007年、「月光族」ということばがはやっていました。「月」は「月給」の月、「光」は使い尽くすという意味で、もらった月給をその月のうちに全部使ってしまう若い人のことをそう呼んでいました。
当時は「先のことは考えない」という人が多かった中国ですが、最近は将来が心配でお金を使いたがらない若者が増えているようです。“縮み思考”が経済のさらなる停滞を招くことにならないか、気になるところです。
(中国総局 須田正紀)
【2024年3月28日放送】
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