ネット上の仮想空間「メタバース」を使って、旅行に付加価値をつける新たなサービスが生まれています。全国62か所を旅して買い物までできるアプリや、国際宇宙ステーションへ行けるものまで!新たな観光需要を掘り起こそうという企業の動きを伝えます。
観光地を疑似体験するアプリ 5万回超ダウンロード
東京都内にある航空大手のグループ会社は2023年12月、スマホ内の仮想空間で、国内62か所を巡ることができるアプリを公開しました。
ユーザーは、自分の分身となる「アバター」を操作して旅行を体験することができます。
例えば、京都の二条城の仮想空間へ旅行。ガイド役は著名な歴史学者のアバターです。解説を交えて見どころを案内してくれます。
また青森県の弘前公園の仮想空間では、満開の桜がボタン1つで夜桜に。メタバースならではの楽しみ方ができます。
このアプリは英語や中国語にも対応していて、利用は無料です。デジタル上の衣装を販売するなどして収益を得ています。
さらにショッピングサイトと連携することで、旅行先の特産品などを実際に買うこともできます。
アプリは現在5万回以上ダウンロードされていて、会社は今後、仮想空間を使った新たな観光のマーケットをつくりたいと考えています。
旅行アプリを開発した会社 冨田光欧 社長
「お客様にとって旅に行った気持ちになる、あるいは本当にそこに行ってみたいという気持ちになる。それぞれの旅先の自治体や企業と一緒に提携して広げていきたいなと思っている」
この観光地を疑似体験できるメタバースは、実際に現地に行く前の予習として利用する人もいるということで、効率的な旅行につなげたいというニーズもあるようです。
行けない場所 仮想空間で巡る
ふだん人がなかなか行けない場所を仮想空間で表現する会社もあります。東京都内のITベンチャーがつくったのは「ISS=国際宇宙ステーション」を巡ることができるシステムです。
グラフィックは、NASAが公開している実際の国際宇宙ステーションの3Dモデルをもとにつくりました。
このシステムでは、メタバースならではの体験ができます。
このシステムは、企業や学校のイベントなどに貸し出されています。会社は今後、国際宇宙ステーション以外にも体験できる場所を広げていきたいといいます。
システムを開発した会社 南郷瑠碧子さん
「日本も(無人探査機が)月に着陸したし、月をメタバース化して、皆さんが月に興味を持っていただける空間にしてみたりとか、いい体験なのではないかと思っている」
【2024年3月4日放送】
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