“映えスポット”を掘り起こして観光需要を取り込め

観光需要が全国で急回復する中、“映えスポット”を生み出すことで観光客を呼び、地域を盛り上げようという取り組みが行われています。

「時代を重ねてきた」ことが魅力に コスプレイヤーが集まる温泉旅館

福島県いわき市にある創業70年を超える温泉旅館「こいと」。今、人気漫画のコスプレイヤーたちが続々と集まっています。

ある女性は、SNSで話題になっていることを知って東京から来たといいます。軍人のキャラクターにふんして撮影していました。旅館の館内は、客室のほか宴会場やバー、屋上など、どこでも自由に撮影できます。

この写真を撮った場所は…
館内の薄暗い通路。“洞窟系”の雰囲気がある写真をねらう

この旅館はコロナ禍で売り上げが落ち込んでいた時、コスプレ好きの客から「時代を重ねてきた施設が写真の背景に合っている」というアドバイスを受け、このプランを始めました。週末は、撮影目的の客で売り上げが2割伸びているといいます。

旅館ではこの集客方法を地域全体に広げようと、客に町の中の撮影場所を提案していて、好評だといいます。

町の中でもコスプレイヤーたちが撮影

いわき市の温泉旅館 宗像達應マネージャー
「古さも生かしてできることをやっていく。本当に新たな誘客の一つになってきてくれた」

特殊撮影の「あの場所」 撮影イベントに開放

映画やテレビの特殊撮影に使われている栃木県内の採石場の跡。イベント会社「セットアップジャパン」は、安全面に配慮してこの場所を一般の撮影イベントに開放しました。

このイベントは1組3万5000円で、月に1回、30組を募集し、毎回予約が埋まっているそうです。

取材した日は、東京から社員旅行で来たグループや、神奈川、福岡などからウェディングフォトの撮影に訪れた人たち、そして海外から参加した人もいました。

ウェディングフォトを確認する参加者
アメリカからの参加者は「Amazing!(最高だよ!)」

イベント会社がいま目指しているのは、採石場の跡を新しい観光名所の一つに育て上げることです。地元の飲食店に声をかけ、新しく開発した土産物などを販売しています。

イベント会社 佐山輝 代表取締役
「この企画をつくり込んで、(客に)周辺の観光地を巡っていただく。地域活性化も爆発していただけるとありがたい」

コロナ禍を経て、モノを消費する観光から、体験型や滞在型といったいわゆる「コト消費」の観光が注目されています。“映えスポット”で写真を撮って終わるのではなく、うまく地域活性化につなげる工夫が求められています。
【2023年7月10日放送】
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