物価が上昇するなか、100円ショップに商品を卸す会社に大きな影響が及んでいます。デフレの象徴とも言える“100均”のビジネスモデルはどうなるのでしょうか?
製造コスト上昇 変わる“100均”の商品
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100円ショップに商品を卸している大阪府千早赤阪村の老舗メーカー「サナダグループ」では、食品保存容器などプラスチック製の日用品を約850点製造しています。デフレ下で100円ショップが脚光を浴びるなか売り上げを伸ばしてきました。
しかしプラスチックの原料の仕入れ価格や輸送費が高騰し、経営に打撃を与えています。
例えば、主力のA4書類向けのバスケットはコストが2割以上上昇したといいます。販売価格を維持するために、商品の仕様の変更に取り組みました。
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100円ショップに商品を卸しているメーカー 眞田和義 社長
「シビアになってくると、何グラム、何センチ、そういうところになってくる」
使うプラスチックの量を減らすために形を変更することを検討している商品もあります。
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「ニーズはあるのに…」製造をやめた品も
しかしコストカットも限界に達しています。パンの保存容器や米とぎ用のボウルは、これ以上工夫することが難しく製造をやめました。
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眞田社長
「ニーズがなくなってやめたということではない。支持していただいているお客さんがいるにもかかわらず、どうすればお客さんに届けられるのか、そこがいちばんの悩み」
付加価値つけ販路拡大
苦境を乗り越えようと、このメーカーは100円ショップ以外への販路の拡大に乗り出しています。
付加価値をつけた商品を開発することで価格帯を上げ、300円ショップやホームセンター向けに販売しようというのです。
取材した社内会議では、付加価値をつけた商品開発に向け、容器のふたについて話し合っていました。
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このメーカーでは、従業員の意欲の向上につながる賃上げを続けたいという思いもあります。そのためにも物価が上がる時代にあわせた経営が必要だと考えています。
眞田社長
「100円という価格帯はなくさないけれど、その上の価格帯があってもいい。継続できる商品・もっと機能を付けた商品、いろんな価格。外部のコストが上がった時にも対応できる。やっぱり働いている人たちにちゃんと還元したいというところはあるので。変化の時は来ていると思う」
倒産する卸会社も
インフレ傾向が強まった2022年以降、100円均一中心に商品を卸す会社の倒産が6件と相次いでいます。
デフレ時代の象徴とも言える、いわば“薄利多売のビジネスモデル”が限界を迎えていることも示しているようです。
価格を上げれば利益を確保できますが、低価格に慣れた消費者がついてくるのか。賃金の動向とともに、どれだけ付加価値の高い製品を生み出せるかも大きなカギとなりそうです。
(経済部 西園興起)
【2024年3月1日放送】
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