先端半導体の分野で世界をリードする台湾では、需要が拡大する中で人材の確保が課題となっています。力を入れているのは、産官学が一体となった取り組みです。
専門学部で学ぶ最新製造技術 当局も補助金投入
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半導体の関連企業が集まる台湾北部・新竹県の私立大学「明新科技大学」では半導体の製造技術を専門に学ぶ新たな学部を設け、約2200人が在籍しています。
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ある教室には、実際の半導体の工場で使われている機械がずらりと並んでいます。学生たちは機械を操作することで、半導体の生産ラインを体験することができます。
大学では生産現場で活躍できる即戦力を育成するため、学生が製造装置にじかに触れる実習を充実させています。
運営は台湾当局の補助金に支えられていて、最新の設備は地元の半導体企業が寄付しています。
明新科技大学 劉国偉 学長
「私たちの施設、設備、教育は、業界の最前線のものでなければならない。業界が求めることを学生に教えるのが重要だ。だからここでは学校と現場のギャップはない」
この大学が特に力を入れているのが、「後工程」と呼ばれる、加工や検査のスペシャリストの育成です。
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微細なチップを基板に固定するなど製品に仕上げるために不可欠な技術を習得し、卒業までに学生の8割が企業が求める専門資格を取得するといいます。
学生の一人は「ふだん学べないことをたくさん教えてくれて、すごくよい経験になる」と話していました。
30社以上が研修生受け入れ 給料も
企業も人材育成に積極的に協力しています。大学の近くにある、半導体の後工程を手がける大手企業は、学部4年生の廖士維さんを研修に受け入れています。
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廖さんは社員からマンツーマンで指導を受け、実際に半導体の製造にあたります。
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こうした研修は30社以上で実施されていて、学生は大学の単位だけでなく給料ももらえます。
企業側にとっても優秀な人材を早めに確保できるメリットがあるといいます。
明新科技大学4年 廖士維さん
「ここでの仕事はとても充実している。大変だが、一緒に働いている先輩たちが分からないことを丁寧に教えてくれる」
研修生を受け入れている半導体メーカー 劉玫杏 人事部長
「研修生のパフォーマンスと評価は非常に良い。今後、人材の確保はますます困難になると思う。それが、私たちが産学協力で多くの時間とリソースを費やしている理由の1つだ」
日本の半導体産業も「人材」がカギに
日本でも、台湾から先端半導体工場を誘致するなど半導体産業に力を注いでいて、やはり人材確保がカギとなっています。
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工場が建設される熊本県内の大学では、半導体に関する人材を育成する新たな学部や学科にあたる組織を2024年度からスタートさせる予定で、台湾での取り組みが参考になりそうです。
(国際部 松本祥子)
【2024年1月25日放送】
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