能登半島地震では、今も多くの人が避難所での生活を余儀なくされています。
現地の避難所にダンボール製などの簡易住宅を提供している名古屋工業大学の北川啓介教授は、暖かさやプライバシーを保ち、速やかに建てられることなどを重視。災害関連死を防ぎ、少しでも心身が前を向いていける環境にしたいと取り組んでいます。
少しでも暖かく、プライバシーを守れる場所を
避難所となっている輪島市内の輪島中学校では、450人以上が避難生活を送っています。
簡易住宅を提供した北川さんは、東日本大震災をきっかけに簡易住宅の開発を始め、トルコやモロッコの地震でも住宅を提供してきました。
今回提供するのはダンボール製の簡易住宅です。二重構造になっていて、中に熱を保ちやすくなっています。
広さは4畳半ほどで、寝泊りはもちろんプライバシーを守りたいときにも使えます。
避難している女性の一人は「女性だったら着替えであったりとか、私も子どもがいるので、おむつを替える場所だったりとか」と話していました。
15分ほどで設営
ダンボール製の簡易住宅は小学生でも15分ほどで簡単に建てられるといいます。避難所の子どもたちは、ダンボールの壁に絵を描くなどして楽しみながら建てたといいます。
名古屋工業大学 北川啓介 教授
「設営したときは、被災していたお子さんとか親御さんが集まってきてくださって、皆さんともにつくっていこうという感じで、前を向いて、上を向いてやっていこうという気持ちになってくれているのは、すごくうれしかった」
支援者や医療従事者向けの簡易住宅も
さらに、避難生活を支援する人や医療従事者のための屋外用の簡易住宅も用意しました。大人3~4人が寝起きすることができます。
屋外用は、ウレタンの断熱材を内側に吹きつけるため、暖房さえあれば屋外で使っても暖かさを保てるといいます。
現地で屋外用の簡易住宅を利用した人は「広いなと思った。すごく暖かくて、保温性があるなと思った」と話しました。
「心身ともに前を向いていける環境を」
北川さんが提供した簡易住宅は現在、屋内外合わせて12棟が設置されていて、今後は数百棟まで増やしていきたいとしています。
北川教授
「(避難生活が)7日とか10日とか過ぎてくると、心もそうだし、体も我慢しきれない状態に、しだいになってきてしまう。体も暖かいところで、心身ともに前を向いていけるような避難所というものが望ましい」
(経済番組 佐野嘉紀)
【2024年1月19日放送】