“フェーズフリー”な防災施設

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能登半島地震では、支援物資がなかなか行き届かないなど課題が浮かび上がっています。

いま注目されているのが「フェーズフリー」という考え方です。「フェーズ」は英語で「局面」。「フリー」は「なくす」こと。日常と災害時の区切りをなくすという意味です。フェーズをフリーにして災害に備える施設の導入が、各地で進んでいます。

道の駅は津波からの避難場所

徳島県鳴門市にある道の駅。屋上の広場には遊具や特産物のオブジェが設置され、ふだんは遊び場や撮影スポットとして親しまれています。

この場所は24時間開放されています。いざ災害が起きた時は津波からの避難場所になるのです。

ふだん、そり遊びに使われているスロープは、高齢者や車いすの人が高いところへ避難しやすいように設計されています。

そり遊びができるスロープは、災害時を考慮して設計

さらに、食品売り場の商品は非常食に転用することを想定しています。約2500種類の商品をそろえ、あえて多めに在庫を用意しておくことで1000人分の食事を3日間用意できるといいます。

徳島県鳴門市 戦略企画課 𠮷川慎太郎さん
日常時は消費者ニーズにできるだけ合致して購買意欲を出したい。非常時も、いろいろな味のものだったり活用できるねらいがある

この道の駅の利用者は年間約120万人。施設の売り上げの一部を基金として積み立てて防災機能を充実させていきたいとしています。

平時はカフェ 非常時は被災地へ運べる建物

避難生活の長期化に対応することを想定した施設も導入されています。三重県東員町の公園にある建物は、ふだんはカフェとして営業しています。

一見ふつうの建物
内部はカフェ

この建物の特徴は5つのコンテナを連結してつくられていることです。災害時にはコンテナを分離してすぐに被災地に運べるように設計されています。

コンテナを分離して運び、再び連結して避難場所に活用

コンテナごとにエアコンを設置しているほか、断熱性が高い壁や窓を採用しています。

さらに太陽光パネルや蓄電池も設置され、停電しても、食料の配給拠点や応急仮設住宅として利用することができます。

屋根には太陽光パネル。電気を自前でまかなう

三重県東員町 政策課 佐藤彰英さん
平時についても、公園を利用される方の憩いの場はもちろん、町民の方への防災の周知にも役立てることができている

図書館や多目的施設にも活用 企業ニーズも

このコンテナ型の施設は、茨城県大洗町で多目的施設として活用したり、愛知県幸田町では図書館として活用したりするなど、各地の自治体で導入が進んでいます。

設計した住宅メーカーは、災害時の事業継続に向けて企業からのニーズもあると考えています。

設計した住宅メーカー 小林範之さん
有事の際に速やかに転用できる。こうしたフェーズフリーの考え方を導入した施設は企業・自治体のニーズが非常に高いと感じているので、今後も提案していきたい

遊び場やカフェとしてふだん利用している施設が実は防災施設にもなっていることで、楽しく過ごしながら防災の意識も養われそうです。

ふだん使うものを災害時に役立てるフェーズフリーの考え方は、災害に対して強い社会をつくっていくために有効な取り組みだとみられます。
【2024年1月17日放送】
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