韓国スタートアップ 日本の観光市場に参入

人手不足に直面する日本の観光業。生産性の向上に向けてさまざまな分野で「デジタル化」が求められていると言われます。

そこにIT技術を得意とする韓国のスタートアップ企業が参入しようと、動きが活発になっています。

観光市場参入へ 韓国の15社が日本に拠点

韓国の政府系企業が2023年12月、東京・渋谷区にオフィスを開設しました。日本の観光市場への参入を目指す韓国のスタートアップ企業の拠点として、15社が入居しています。

韓国観光公社 キム・ジャンシル(金長實)社長 (当時)
(われわれは)韓国の観光関連企業の海外進出に多大な関心を持っている

レンタカー手続きのデジタル化「日本はブルーオーシャン」

このオフィスに入居する15社のうちの1社で、韓国南部のチェジュ島(済州島)のIT企業は、レンタカー会社向けのシステムを開発しています。

このシステムでは、レンタカーの利用者は、設置された端末を操作するだけで貸し出し手続きを完了することができます。

運営側は、貸し出し手続きのほとんどを無人で行えるようになるほか、配車の調整や価格の設定をシステム上ですべて管理できるといいます。

システムを開発したIT企業は1年余り前、日本の沖縄に進出。北海道などにも契約先を広げています。

沖縄でシステムが導入され始めている

レンタカー支援システム開発会社 ユン・ヒョンジュン(尹亨準)社長
(日本の)レンタカーや旅行の分野でデジタル化が進んでいないので、人々はとても不便を感じている。日本はブルーオーシャン(未開拓市場)だ

免税品の税還付も非対面のシステムに?

免税品を買った場合の税の還付システムを開発した会社も、日本を目指しています。

この会社は、韓国を訪れる観光客に対して、免税制度を利用して化粧品などを購入できるショッピングサイトを開設。利用者は本人の好きな時に、買った商品をソウル市内に設置されたロッカーで受け取ることができて、税金もその場で還付されます。

サイトで免税品を買って…
好きな時にロッカーで受け取る
税金もその場で還付される

韓国では多くの場合、空港の専用窓口で税金の還付などを受ける必要がありますが、その手間を解消できます。

このシステムを開発した会社は、免税制度が異なる日本でも応用できないかと考えています。

キム・ヨンウン(金龍雲)社長は、連携できる日本側のパートナーを探そうと動き始めました。日本企業も参加するソウルでのイベントで「タックス・リファンド(税の還付制度)分かりますか?」と呼びかけ、次のように自社のシステムをPRしました。

これに対し参加した日本企業の一つは「めちゃくちゃニーズありそう。日本人だとたぶんあまり発想できないサービスな気がする」と話していました。

システムを開発した会社は、日本企業と連携することで、できるだけ早く日本の観光市場に参加したいと考えています。

税の還付システムを開発した会社 キム・ヨンウン(金龍雲)社長
一緒に協力すれば、大きなビジネスチャンスと相乗効果が得られると思う

日本は各地に観光資源を抱えていて、韓国企業も魅力的な市場と感じているのでしょうか。こうした企業の進出で日本の観光の利便性が高まれば、日本経済にとってもプラスの効果をもたらすかもしれません。
(ソウル支局 イム・ギョンソン)
【2024年1月11日放送】
あわせて読みたい