ビジネスを日本とパレスチナのかけ橋に

パレスチナの人たちが作った雑貨を日本で輸入販売する事業を立ち上げた人が、兵庫県にいます。刺しゅうをほどこした1点物の布製品などを販売。イスラエル軍とイスラム組織ハマスの戦闘の収束が見えない中、雑貨を通して現地に関心を持つきっかけになればと考えています。

パレスチナの人とフェアトレードを

大阪府池田市の公園で開かれたイベント。パレスチナの人たちが一つ一つ手作りした伝統的な刺しゅうの布製品など、雑貨が販売されていました。

一点物の布製品。「一つ一つ質感も色味も違う」
木工品やアクセサリーなども販売されていた

兵庫県で暮らす髙橋智恵さんは2年前、パレスチナの雑貨を輸入販売する事業を立ち上げました。

髙橋智恵さん

きっかけは、国際文化を専攻していた学生時代にパレスチナの文化に興味を持ち、ヨルダン川西岸地区でホームステイをしたことでした。

ホームステイしていたころの髙橋さん(左から3人目)

パレスチナの人々の優しさに触れ、何か役に立てることはないかと考えた髙橋さん。パレスチナでは観光客向けの雑貨などの生産が盛んなことを知りました。それを日本で販売することで現地の収入につながり、対等なパートナーになれると考えて事業を立ち上げることにしました。

髙橋智恵さん
「フェアトレード(対等な取り引き)がしたい。彼らが持っている、すてきなものを一緒に日本に届けるというのが、もっと前向きというか、生産的というか、人としてのつながり方としてそっちをやりたいと思った」

デパートにも出店 取り引きが増加

髙橋さんの事業は当初は赤字でしたが、2年余りたち、デパートにも出店することで取り引きも増え、利益が出るようになりました。

パレスチナで布製品を作る女性たちにとっても収入の柱の一つになってきました。

一つ一つ布製品を作る

事業を続けられるのか…

こうした中、今回の大規模な衝突が起きました。髙橋さんは取り引きをしているパレスチナの人たちの無事を確認できましたが、現地からは事業が続けられるのか心配する声が届いています。

髙橋さんに届いたメール

今だからこそ モノの力で現地に関心を

混乱が続く中でも、現地で雑貨作りの作業を再開した人も一部いて、髙橋さんは製品を輸入できるよう、やりとりを続けています。衝突が激しさを増す今だからこそ、日本で雑貨を手に取った人たちに、パレスチナに関心を持つきっかけになればと考えています。

髙橋さん
「モノってすごく力があるというか、私がいきなりパレスチナの話をしても、なかなか興味ある人しか聞いてくれないと思う。(雑貨を通じて)『どこで作ってるんですか』『パレスチナです』『えっ、パレスチナって』。そこはすごく大事で、入り口になってほしいという思いがある」

現地では、観光業が立ち行かなくなっている今、こうした製品の輸出が貴重な収入になっているということで、1日も早く衝突が収まることを願います。
(神戸局 武田麻里子)
【2023年12月19日放送】
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