コロナ禍以降、中国でアウトドアブームが起きていて、キャンプ用品の市場が急拡大していると言われています。これに目を付けたのが、新潟県のアウトドアメーカー。金属加工業が盛んな地元・燕三条地域の企業と連携して新商品を開発しようと動き出しています。
上海の展示会 500以上のメーカー参加
中国・上海で開かれたキャンプ用品の展示会。国内外から500以上のメーカーが参加しました。
人気を集めていたのが、新潟県燕市から参加したアウトドアメーカー「新越ワークス」のブースです。事業部長の田瀬明彦さんは、中国市場でキャンプ用品の新たなニーズを探ろうと考えています。
アウトドアメーカー ユニフレーム事業部 田瀬明彦 事業部長
「コロナ禍で一気にアウトドアの市場が中国に広がったので、チャンスではないかなということで」
普及していない「くん製機」にチャンス?
取材した日、田瀬さんは同業者とともに、中国のアウトドアショップで市場調査を行いました。
この質問に対し、この店の経営者は次のように答えました。
中国のアウトドアショップの経営者
「中国では焼いているものが多い。くん製のものを食べる人は少ない。ふだん試せない新しいことに挑戦するのは、いい選択肢かもしれない」
中国でこれまで普及していない「くん製機」に勝機があると考えました。
新商品開発へ 燕三条の力結集
帰国した田瀬さんは、“金物の町”として知られる地元・燕三条地域の企業に声をかけ、新商品の開発に取りかかりました。
例えば、くん製機のふたに使う素材は、高熱に強く煙をもらさないよう、変形しない頑丈さが求められます。
田瀬さんはこの素材を燕市内の金属問屋「外山精一商店」から調達しました。家庭用の食器から鉄道車両まで幅広い素材を扱っているため、くん製機向けに品質やコストの異なるさまざまな素材を用意してくれました。
金属問屋 高橋芳昌さん
「ステンレス素材の中だけでも品種が多種多様にあるので、その中から求められるものを選定して、ご提案するような感じ」
製品の仕上げにも徹底的にこだわりました。素材の加工・組み立ては新潟県三条市の金属加工会社「中村精工」に依頼し、金属を複雑な形状に作り上げる高い技術力を発揮してもらいました。
品質にこだわる中国の富裕層を意識して、0.05ミリの出っ張りやトゲも見逃さずに処理していきます。
金属加工会社 中村敏 代表取締役
「1社で全部まかなうのではなくて、得意とするところを(田瀬さんの会社が)まとめて1つの商品を作り上げていく。それが本当に燕三条のいいところだと思う」
アウトドアメーカー 田瀬 事業部長
「中国人の方の好みとかを勉強して、それにあった商品で十分に対応できるかなと。勝機はある」
開発しているくん製機は11月に完成する予定で、価格は日本円で1万6500円を予定しています。地場産業をうまくブランド化して新しい市場を開拓できるか、注目されます。
(小柳一洋、新潟局 木村信哉)
【2023年10月4日放送】
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