物流「2024年問題」対策どうする? 若手の発想力で効率化

物流の「2024年問題」とは、24年4月からトラックドライバーの労働時間の規制強化が始まり、輸送量の減少が懸念されている問題です。岡山市の企業では、若手の社員を起用することで、これまでにない発想で物流の効率化を図ろうという取り組みを始めました。

効率化へ若手チーム始動

岡山市のバイオ関連企業「林原」。主力製品は甘味料などとして使われる糖質「トレハロース」で、この会社が製造する商品をすべて合わせると年間8万9000トン、トラックに換算して7500台分に上ります。

これらの商品が、2024年問題でこれまでどおり全国に届けられないおそれが出てきています。

そこでこの会社は、社内の物流の仕組みを見直そうと、2人の若手女性社員を抜てきしました。会社では「物流女子」と名付け、慣例にとらわれない新たな発想で効率化を目指すチームを立ち上げました。

桑田あかりさん(左)と宮内悠里さん

バイオ関連企業 物流課 桑田あかりさん
「(物流は)力仕事で男性的な部分はあったが、実際何をやっているかは分からなかった。大ざっぱなイメージがあったが、すごく細かい気遣いのうえで成り立っていると思った」

小口の荷物 自社の「あいのり便」で配送

このチームが提案したのが「あいのり便」。小口のものを1台にまとめて発送する仕組みです。例えば、関西方面に向かうトラックは、神戸市の3か所と大阪市の1か所、合わせて4か所に届けるものを1台にまとめました。

これまでこうした小口の荷物は、そのつど運送業者に依頼して配達してもらっていました。

そこでチームの一人、宮内悠里さんは、同じ地域の荷物ならまとめて自社で配送すればむだがなくなると会社に提案。効率のいいルートも細かく設定することで、配送の回数や距離を減らすことができるようになったといいます。

同じエリアの小口荷物をまとめて自社配送する

物流課 宮内悠里さん
「お客様のニーズもあると思うので『一気にまとめてください』というのは難しい。だからこそ『あいのり便』で小口を3件4件とまとめていくことで、物流業者とも協力できる今の輸送モードを生かせる」

鉄道コンテナ便で事故リスク減らす

さらに会社が注目したのが、鉄道のコンテナ便です。大口のものをより遠くに運ぶ場合、トラック輸送に比べて環境への負荷や事故のリスクを小さくすることができます。

こうした方法を組み合わせることで、年間のトラック輸送距離を、これまでの1割減にあたる地球38周分を削減することができました

物流課 宮内さん
「これまで私がやってきたことを発展できるようにお客様と協力していきたい」

物流課 桑田さん
「物流業者の声、営業を通じてお客さんの声をしっかりとらえて、みんなと協力して2024年問題に負けないようにやっていきたい」

最近では、ライバルの会社が手を組んでものを運ぶといった、これまでは考えられなかった動きも出てきています。2024年問題が迫る中、知恵や工夫がますます求められています。
(小山晋士)
【2023年8月23日放送】
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