物流業界は人手不足が大きな課題になっていて、長時間労働で人が集まらないことも人手不足に拍車をかけています。
長時間労働の原因の1つが、荷物の管理といった運転以外のさまざまな作業に追われることです。それをスマートフォンで減らそうという挑戦が始まっています。
積み荷のサイズ 自動で計測
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物流現場での課題の1つが積み荷のサイズ計測。多くの現場で1つ1つ人の手で測っています。
この課題の解決に取り組んでいるのが、東京都内のベンチャー企業「オートマギ」です。
開発したのは荷物のサイズを瞬時に測るスマホのアプリ。使い方はシンプルで、スマホを荷物にかざすと数秒で3辺の数値を計測し体積まで割り出します。
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どのくらい作業が楽になるのか、荷物10個のサイズ計測を手作業で行った場合と、アプリを使った場合で比較してみました。
その結果、アプリを使った場合は約1分で作業が終了。4分以上かかった手作業に比べ、かかった時間は4分の1でした。測り間違いといったミスも減らせます。
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荷物を計測する機械はこれまでもありましたが、大型でコストもかかり中小企業では導入が困難でした。それをスマホ1つでできるようにしたのがこのアプリ。現場からは計測する際にミリ単位の精度を上げてほしいという要望もあるということです。
アプリを開発したベンチャー企業 和田龍さん
「誰もが持っているスマートフォンで自動計測ができることによって、手軽に安価に自動計測ができるというのは、中小企業にも導入しやすい」
ドライバーのパレット管理を楽に
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物流拠点に山積みにされているのは「パレット」。フォークリフトで積み降ろしができるため、現場の負担を減らせるとして利用が増えています。
しかしこのパレット、荷物と一緒に全国を移動し、どこに何枚あるのかきちんと管理しないと、足りなくなって出荷できないなどといった形で物流に影響が出てしまいます。
このためドライバーには、パレットを管理するという運転以外の負担が。積み込みと荷降ろしの際に毎回パレットの数や種類を確認しなければならないのです。
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この課題の解決に取り組んでいるのが大手メーカーの「TOTO」です。会社の試算では1日のパレット管理にかかる時間が全国4つの拠点であわせて40時間になると試算していて、これを減らそうと、スマホを使ったサービスの実証実験を行っています。
ドライバーは積み荷をスマホのカメラで撮影するだけ。すぐに「どの色、種類のパレットが何枚あるか」を数えて記録してくれます。
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トラックドライバーの1人は「(作業が)楽になると思う」と話しました。
この会社ではスマホを使ったサービスの導入により、パレット管理の時間を3割削減したいと考えています。
大手メーカー 物流革新グループ 齋藤圭介さん
「新技術を導入することによって、ドライバーの待機時間の削減といった物流業界全体の社会課題に取り組んでいけたらと思っている」
いま物流業界では「2024年問題」が浮上しています。
これは2年後にドライバーの時間外労働に上限が設けられるもので、人手不足がより深刻になる可能性があるとされています。ITによる物流改革が今後も注目されます。
【2022年8月1日放送】
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