アメリカも卵の価格高騰で「ニワトリ飼育」が人気!?

鳥インフルエンザの流行で値上がりが続く卵。アメリカでも記録的なインフレに追い打ちをかける形で卵が高騰しています。割安な価格で卵を手に入れようと、自宅でニワトリを飼育する人も出てきました。

1年で25%値上がりした卵 鳥インフルが拍車

アメリカ・ペンシルベニア州の養鶏農家の卵の販売所では、12個入りが日本円にして約650円で売られています。1年で25%値上がりしたといいます。

客の男性は「1年前からずいぶん高くなった。いい卵なんだけど」と話します。

この養鶏場によると、インフレの影響に加えて鳥インフルエンザの流行も卵の値上がりに拍車をかけているといいます。

養鶏農家 ロナルド・アイクナーさん
「アメリカではこの11か月で6000万羽が処分されたようだ。供給が減っているので、卵の価格が上がっている」

メキシコから持ち込み 押収件数4倍以上に

押収された卵

卵の価格上昇に伴って、物価の安いメキシコから卵を持ち込もうとする人が急増。この3か月間、メキシコとの国境で卵などが押収された件数は4倍以上に増加しました。

税関・国境警備局は鳥インフルエンザの感染拡大につながるおそれがあるとして、申告しなければ最大1万ドルの罰金を科すと警告しています。

「ニワトリ飼育」にニーズ キットも販売

こうした中、ニワトリをみずから飼育しようという人も出てきています。メリーランド州のジェニファー・ルークさんの家では2022年、ペットとしてニワトリ8羽を購入して飼い始め、今では18羽に増えました。

1日に12個程度の卵がとれて、エサ代を差し引いても家計の助けになるといいます。

ジェニファー・ルークさん
「卵の値段が高くなっているので、お金をかけずに手に入れられるのはうれしい」

こうした家庭向けのニワトリを販売している会社もあります。この会社によると、ニワトリを自宅で飼育したいという需要は確実に増加しているといいます。

会社では、ひよこから育てる専用のキットを、ひよこ6羽と小屋を暖めるヒーターがついて約2万1000円で販売しています。

またニワトリ2羽と鳥小屋のキットは、エサもついて約8万円です。

ニワトリ飼育キット販売会社 タイラー・フィリップスさん
「キットには必要なものがすべてそろっている。初日から卵を産み始めるのでいちばん簡単な方法だ。卵の値段が上がったことで、客の数は2倍に増えた」

卵高騰は当面続く?

家庭やビジネスの現場に変化をもたらす、卵の価格上昇。物価動向に詳しいシッペンスバーグ大学のアンドリュー・バサロ学部長は、インフレも収束しない中で当面続くと見ています。

シッペンスバーグ大学 経済学部 アンドリュー・バサロ学部長
「ニワトリが増えるまで数か月はかかる。生産量が増えれば価格は多少安くなるが、元の水準まで下がることはないだろう」

鳥インフルエンザの流行は、北米だけでなくコロンビアやペルーなど南米でも広がり始めていて、世界的な卵の値上がりはまだ続きそうです。
(ワシントン支局 小田島拓也)
【2023年2月24日放送】

あわせて読みたい