

ドローンの「レベル4」という高度な飛行が5日に解禁され、「人がいる上空」で「操縦する人などが目視できない範囲」でもドローンを飛ばせるようになりました。
物流の分野で、郵便配達や荷物の宅配などでのドローン利用が近いうちに始まりそうです。そうしたドローンの安全性を高めようというビジネスを取材しました。
操縦者向け地図や気象情報 アプリで提供

東京都内にあるドローンを扱う会社「ブルーイノベーション」は今、ドローンの操縦者を支援するアプリの運営に力を入れています。
アプリを開くと、「飛行禁止区域」や「人口が密集しているエリア」が一目で分かる地図が表示されます。

また飛行する場所を選択すると、その場所の気象情報が表示されます。大事なのが「雲の量」です。「多い」から「雲なし」まで4段階で表示されます。
厚い雲はドローンの大敵で、雲に含まれる水分などで機体にトラブルが起きたり、電波が乱れたりするおそれがあるのです。

この会社は、操縦者がそうしたリスクをいち早く知って、長距離を飛ばす飛行計画を立てる際に役立ててほしいとしています。
ドローンを扱う会社 熊田貴之 社長
「空の使っていない空間をどんどん使っていこうという動きになるので、パイロットが増えれば増えるほど市場が広がっていく」
サイバー攻撃リスク 開発段階から診断
東京都内のIT企業「GMOインターネットグループ」は、ドローンを制御している電波のネットワークがサイバー攻撃を受けたという設定で実験をしています。


実験を行っているIT企業 浅野昌和さん
「レベル4になるとネットワークへの依存度が非常に高くなる。悪意を持った第三者が、ネットワークを介してドローンへの攻撃等を行う可能性がある」
操縦者の見えないところを飛ばすレベル4では、ドローンと直接、通信するのではなく、電波を中継する通信機器を使うことが想定されます。
また、あらかじめプログラミングされた飛行経路をクラウド上などから取得して飛行することもありえます。
そうしたネットワークがサイバー攻撃を受けるリスクが高まっているというのです。

このIT企業は、ドローンメーカーなどを対象に、こうしたリスクを開発の段階から診断するビジネスを展開しています。
ドローンの動きを制御しているソフトを解析して、ハッキングされるリスクを評価したうえで、より安全性を高める方法を提案します。
IT企業 浅野さん
「“空の産業革命”と言われているけれども、非常に大きな変革期だと思う。どうやって安全に空を飛ばすかということが非常に大きなテーマになってきている。そこをお助けすることがどんどん増えてくるんじゃないか」
ドローンを巡っては、国による「機体の安全性を検査する制度」や「操縦者のライセンス制度」などが導入されています。一方で、通信網を使うことによる新しいリスクが生まれる可能性も指摘されています。さまざまな知恵で安全性を高めてほしいと思います。
【2022年12月12日放送】
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