スポーツの秋。障害者スポーツを、デジタル技術を使ってより多くの人たちに楽しんでもらおうという試みが広がっています。
AI技術でより多くの人に「ボッチャ」を
2022年に東京・港区にオープンしたアミューズメント施設。人気を集めているのが、ゲーム感覚で遊べる「ボッチャ」の設備です。
ボッチャは、白のボールに向けて、赤と青のボールをそれぞれ6球ずつ投げたり転がしたりします。白のボールにどれだけ近づけられたかなどで勝敗が決まります。
この設備の特徴は、上部についたカメラとセンサーの情報から、AI=人工知能がボールの距離を測定してくれることです。審判がいなくても、どちらが勝っているかを瞬時に判断してくれます。
体験した客の一人は「(白いボールに)どこがいちばん近いか、完璧に表示できていいなと思った」と話していました。
この設備を開発したのは東京都内のIT企業「ワントゥーテン」です。東京パラリンピック以降に問い合わせが増え、いま全国5か所で設備が導入されています。
収益の一部は、日本ボッチャ協会に寄付され、ボッチャ選手の支援や育成にもつながっているそうです。
自身も交通事故の影響で身体に障害がある経営者の澤邊芳明CEOは、多くの人に障害者スポーツのおもしろさを知ってほしいと考えています。
澤邊芳明CEO
「若い方もお年寄りも、障害ある方もない方も、会話の一つとして楽しんでいただく競技として、日本中・世界中に展開したい」
この設備は英語と中国語にも対応しており、会社は今後、海外への展開を増やしていきたいとしています。
ドリフト走行する車いすのような乗り物で新スポーツ
全く新しいスポーツを開発して、障害者と健常者がともに遊べるようにしようという動きもあります。
東京都内でロボットなどを開発する会社「AXEREAL」が手がけたのは、車いすのような特殊な乗り物です。
リング状の部品がタイヤに取り付けられていて、横滑りしながら走らせる「ドリフト走行」ができます。
タイヤにはモーターも付いていて速度を制御。倒れにくい構造で、腕の力が弱い人でも操作できるといいます。
競技では、この乗り物でタイムを競い合います。ドリフトの技術を磨くほどタイムが縮まるそうです。
開発した会社はさらに多くの人に楽しんでほしいと、腕で操作しなくても体を傾けるだけで移動できる技術も開発中です。
安藤良一 社長
「有利なほうが不利なほうに気を遣うとか、不利なほうが『ちょっとこれ不利だな』と思いながらやるとか、そんなんじゃない。フラットだからみんな全力でできる。そういう世界をつくりたい」
会社は今後、スポンサーを募って世界大会を開催したいとしています。
【2022年10月17日放送】
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