スポーツの授業や部活動をデジタル変革 先生の負担軽減にも?

コロナ禍でオンライン授業の必要性が高まったこともあり、学校現場にタブレット端末などの導入が進められました。デジタル技術を使って、スポーツの授業や部活動を変革していこうという取り組みが始まっています。

※過去の放送のセレクションをお届けします。

アプリで「見える」 「できる」につなげる

東京・世田谷区にある東京学芸大学附属世田谷小学校は2022年度から、授業にあるアプリを取り入れています。運動している姿を動画で撮影すると、AIが顔や腕など体の部位を自動で認識し、画面上に点と線で表します。

6年生のある児童は今、マット運動の上達を目指しています。練習しているのは、立ったまま手をついて前に回転する技。2か月前の4月にはできませんでした。

そこでアプリで撮影した自分の体の動きを上手な人と見比べるうちに、その違いに気づきました。

両手をマットについて回転しようとする時に「背中の部分が僕はまっすぐだけれど」「ここで反らないといけない」。体を反らせることを意識したところ、うまくできるようになりました。

小学6年生の児童
「自分がやったことが自分で分かって、どういうふうにすれば改善されるのかが分かるからすごく便利です」

久保賢太郎教諭
「子どもたちが自然と『角度が違う』とか『速くなってる』と気づける。テクノロジーを使うことですぐに見える、今までできなかったことがすぐにできるという可能性を感じる」

このアプリを開発したのは静岡県浜松市にあるベンチャー企業「スプライザ」です。このアプリは現在11の学校で利用が始まっていて、学校現場のIT化が進む中、需要が増えていくと期待しています。

ベンチャー企業 土井寛之代表
「(ITの)設備が充実してきた。その中で重要なのがソフトウエア。教育のあり方を変化させることに少しでも貢献できればいい」

体調をデータで「見える化」 顧問の負担軽減にも?

中学校の部活動にもデジタル変革が広がろうとしています。

東京都内の会社「ユーフォリア」がトップアスリート向けに開発したソフトウエアは、「疲労感」といった体調や「睡眠時間」などを手軽に入力でき、データを蓄積して「見える化」します。

この会社は21年に自治体と連携し、さいたま市内の中学校の部活でこのソフトを試験的に使ってもらいました。食事の記録をとって栄養指導もしました。

生徒の体調管理につながり忙しい顧問の先生の負担軽減にもなると、好評だったといいます。

ソフトウエアを開発した会社 宮田誠代表
「データが瞬時に集積される、そういうところが非常に大きなメリット。先生方の働き方改革というところに、われわれのソフトウエアがうまく役に立つのではないか」

アプリをつくった会社も、タブレットで「見て」「考え」「試してみる」ことで、子どもたちがだんだんと上達する楽しみを感じる手助けになればと話しています。
【2022年8月15日放送、初回放送6月27日】