新型コロナの影響もあって、お気に入りのスポーツチームの応援にしばらく行っていないという人も少なくないのでは?アマチュアスポーツの世界では、デジタル技術の力でファンとのつながりを強めようという動きが広がっています。
公式アプリで試合を“文字実況” ファンからの投げ銭も
千葉県木更津市で活動する社会人のサッカーチーム「房総ロ―ヴァーズ木更津FC」は2021年11月、ベンチャー企業に依頼してチームの公式アプリを導入しました。
最も力を入れているのが試合の様子を文字で実況するサービスです。中継用の撮影機材は不要で、チームのスタッフがパソコンなどを使ってファンに細かく情報を発信します。
ファンの反応もよく、チームにお金を寄付する“投げ銭”も集まっているといいます。
広報担当 山根恵里奈さん
「現地にいなくても自宅で応援できる、試合に触れられるというところで、コミュニケーションのきっかけの1つになってくれている」
アプリを開発した東京都内のベンチャー企業「オオカミ」は、現在サッカーやハンドボールなど30チームほどの公式アプリを手がけています。高校の部活動などにも利用を広げていきたいと考えています。
アプリ開発担当 秋山弥生さん
「マイナースポーツのマーケットはまだまだ成長できるポイントが多分にある。そこをITの力でお助けできれば」
資金調達を「トークン」で ファンが増えれば価値アップも?
最新のデジタル技術を使って新たなファンを増やしたというスポーツ団体もあります。スペインで人気の競技「パデル」。テニスとスカッシュを足したような球技です。
団体設立から6年たち徐々に力のある選手が育ってきましたが、活動資金の不足が課題でした。
そこで21年9月、東京都内のベンチャー企業が開発した「トークン」を使った新しい資金調達のアプリを利用し始めました。
トークンとは競技団体がネット上で発行する応援券のようなものです。アプリを通じて買い手を募り、金額に応じた量のトークンを渡します。トークンの保有者には試合を特別な席で観戦できるといった特典が与えられます。
パデルの競技団体はトークンの発行で約500万円を集め、世界大会へ選手とスタッフを送り出すことができました。
このトークンはアプリ内で売買できて、需要と供給によって価格が変動する仕組みになっています。スポーツの人気が高まってファンが増えれば、トークンの価値が上がっていく可能性もあります。
開発したベンチャー企業「フィナンシェ」には、資金調達にこの仕組みを使いたいとプロのスポーツチームからも声がかかっているといいます。
田中隆一COO
「皆さんが積極的に関わることでよりチームを応援する気持ちも高まって、新しいファンの人たちを皆さんの力で引き連れてくる。そういった循環が生まれるんじゃないか」
トークンは人気がなければ価値が下がってしまう場合もあるため、応援のために購入しようという人もその点はおさえておく必要があります。
とはいえ、こういったデジタル技術でファンも運営資金も増えれば、アマチュアスポーツがもっと盛り上がる可能性がありそうです。
【2022年3月22日放送】